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「幻覚とはどういうことだ」
「…あの……そ、の…」
「胡蝶は大事無いと言っていたが、違ったのか!?よもや鬼の血鬼術がまだ…!?」
「ちっ近いです杏寿郎さん……!」
両肩を掴まれ、焦ったように問いただす杏寿郎さん。
迷惑をかけた上に、とんだ足手まといだった私を、
こんなにも心配してくれている。
それなのに私は、
段々と近くなる距離に、心臓が口からまろび出そうです。
「い、今はもう大丈夫なんです!本当に…!」
「…だが、」
「目を覚ますまで、鬼の血鬼術で夢を見せられていたようで…本当に、それだけです」
嘘は、ついていない。
胡蝶様は、軽い洗脳状態にあったと言っていたけれど、
血鬼術にかけられてすぐに杏寿郎さんが鬼を斬ったおかけで、身体は操られずに意識だけが本能を読み取ったと…
よく分からないが、そんなふうに聞いた。
杏寿郎さんは少し眉を顰めた後、ゆっくりと手を離した。
そのままベッドの横にあった椅子に腰を下ろし、
顎に手を当て何やら考え事を始めた。
胡蝶様も、まだ完全に鬼の能力を把握できた訳では無いと言っていたし、
洗脳が完全に解けたのかもう少し調べる必要があるとも言っていた。
杏寿郎さんに説明しようにも、私自身がまだ自体を把握できていない。
「あの……杏寿郎さん、私の事はもう気にしないで下さい、…お役に立てないどころか、助けて頂いて、ありがとうございました」
「…………」
「胡蝶様が、もう少し詳しく調べて下さると仰っていたので……しばらくはこちらでお世話になると思います。…次にまた任務でご一緒する機会があれば、その時は……」
その時、は。
…その時こそは。
「…もっと、強くなって、必ずあなた様のお力に」
「A」
「、……はい」
「君は俺を好いているのか」
弾かれたように顔を上げる。
思わず見つめた先、
私を見つめる視線とぶつかり、
先程放たれた言葉が、脳へと届く。
どうして、
どうして、そんなことを、聞くの?
「……わ、たし、が?…杏寿郎さん、を、」
「逸らすな、A」
「っ……!!」
「…頼む」
懇願するように、
杏寿郎さんの手が、そっと、私の頬をなぞった。
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まゆ - 無理のないように頑張って下さい!ユリアさんのファンになりました٩(๑>∀<๑)۶ (2月4日 9時) (レス) @page19 id: 311499c733 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - まゆさん» うわーーんコメントありがとうございます( ; ; )ドキドキ!嬉しいです!頑張ります(*´˘`*)♡ (2月3日 22時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - とても素敵なお話です!読んでいるとすごくドキドキしました♡続きが気になります!更新を楽しみにしてます⸜( •⌄• )⸝ (2月3日 15時) (レス) @page16 id: 311499c733 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - にこさん» ( ᴗ͈ ᴗ͈)” 勢いのまま完結まで書き切りたいと思います(*˙˘˙*) (1月23日 1時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - さやさん» (*´˘`*)♡ (1月23日 1時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2024年1月21日 14時