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私があの方を初めてお見かけしたのは、
今から約1年前のことだ。
毎日毎日、鬼の頸を斬る日々。
毎日、
毎日、
毎日毎日毎日、
変わらない、
どれだけ斬っても、
今日もどこかで、誰かが鬼に喰われ、殺されている。
嫌気がさすような毎日に、
そんな世界で生きることを、心のどこかで、やめたいと思っていたのかもしれない。
それは自分が決めた道から逃げる事になることも、分かっていながら。
その日は、雪が降っていた。
鬼の頸を斬り、消えゆく身体をただ見つめていた。
肩に鈍い痛みを感じて、鬼との戦闘中についたのであろう切り傷を見つけた。
真っ白な雪に、ポタポタと落ちる赤を見て、
何故だか、涙が溢れて止まらなかった。
私はもう、駄目だ。
このままじゃきっと、
「む!怪我をしているのか!」
響いた声に、弾かれたように頭を上げた私は、
涙ではっきりと見えなかった視界を拭った。
代わりに視界いっぱいに広がったのは、
燃えるような赤と、
何もかもを見透かされてしまいそうな、
澄んだ眼だった。
「俺は炎柱、煉獄杏寿郎だ!遅くなってすまない!!」
「っ……京極、Aです、…階級は甲です、」
「きょうごく…俺の煉獄と似ているな!!」
「へ、?…あ、…はい、」
「鬼は君が殲滅したのか!他の隊士は?」
「……皆、やられました」
選抜の頃から共に戦ってきた同期達。
今日の任務で一緒だった2人は、
鬼に身体を貫かれ、死んでしまった。
残ったのは、私だけだ。
「…そうか」
「……私が、もっと、強ければ、」
「ではその友人の分まで、君は生きる他ないな!!」
「…ぇ、」
「己の不甲斐なさに、どれだけ打ちのめされようと、…俺たちは歩みをとめてはいけない。前を向いて進む他ない。…京極A」
「っ……」
「心を燃やせ。…君ならば、きっと乗り越えられる」
生きる希望を、
目的を、意味を、失っていた私は。
この日、
目の前に現れた、真っ直ぐな目をしたこの人に。
心に熱い火を、灯されたのだ。
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まゆ - 無理のないように頑張って下さい!ユリアさんのファンになりました٩(๑>∀<๑)۶ (2月4日 9時) (レス) @page19 id: 311499c733 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - まゆさん» うわーーんコメントありがとうございます( ; ; )ドキドキ!嬉しいです!頑張ります(*´˘`*)♡ (2月3日 22時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - とても素敵なお話です!読んでいるとすごくドキドキしました♡続きが気になります!更新を楽しみにしてます⸜( •⌄• )⸝ (2月3日 15時) (レス) @page16 id: 311499c733 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - にこさん» ( ᴗ͈ ᴗ͈)” 勢いのまま完結まで書き切りたいと思います(*˙˘˙*) (1月23日 1時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - さやさん» (*´˘`*)♡ (1月23日 1時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2024年1月21日 14時