お願い、こっち見ないで〈五条悟〉

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「長い夢でも見てたのかな…」

「現実逃避してる場合かアホ」





真希ちゃんにごもっともな事を言われる。

そりゃそうだ。



やっと降ろしてもらえた私は、

今日終わったら迎えに来るねーと、
ヒラヒラと手を振って去っていった先生の後ろ姿を、
ただ呆然と見ていた。


……ん？


迎えに来るって、どういうこと？





「悟のやつ本気かよ…」

「そんなわけないよ、あの五条先生だよ？」

「そう思ってんなら何で受けたんだよ」

「あの顔を出されたら断れんよ真希殿…」

「Aは本当に、悟の顔が好きだね」





ぽん、と頭に手を置かれ。


見上げた先にいたのは、

生徒からも補助監督からも大人気(多分)、


五条先生と同級生の夏油先生。


ちなみに副担任でもある。





「夏油先生…」

「悟に告白されたそうだね」

「もう知ってるんですか…」

「はは、嬉しそうに話してたよ」





笑い事じゃないよ、夏油先生。


五条先生と夏油先生は、高専の学生だった頃からの親友だというのもあり

はたからみても、仲良しだ。


そしてモテる。


二人ともだけど、
多分夏油先生のほうがモテると思う。

五条先生は顔だけだから。





「五条先生、私の事好きなんだって」

「知ってるよ。結構前から気に掛けてたよ？」

「え、本気で？？」

「…あー、そっか、…悟のあの感じは、なかなか信じられないよね」





苦笑いを浮かべる夏油先生に、

私も素直に頷く。



本当に、
長い夢でも見てるのかなって。


…キスされた今でも、まだ信じられない。





「…少なくとも、私が悟と知り合ってから、好きになったって聞いたのは君が初めてだよ」

「っ…」

「悟は日頃の行いが悪すぎだ」

「あはは…真希の言う通りだね」





夏油先生の言葉に、

少しだけ、自分に正直になれるような気がした。



今日、ちゃんと話をしよう。


五条先生に、ちゃんと聞こう。



もし本当に、

私を好きだと言ってくれているのなら、



…私は、








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