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「何だ、あの子もう帰っちまうのか」
「む!そのようだな!」
宇髄の言葉に、
視線を彼女の方へと移す。
ちょうど振り返った彼女と目が合い、
お疲れ様、の意を込めて笑顔を浮かべた。
慌てて頭を下げた彼女は、
そのまま走り去ってしまった。
「…何故ああも避けられているのだろうか」
「絶対覚えてるだろ。柱相手の癖が抜けてねぇ感じ」
「うーん…だが、」
「生まれ変わってまで、関わりたくねェってこったァ」
前世を記憶しているからといって、
それを辿る人生を送るわけではない。
ましてやこの平和な世界。
…過去に縛られたくない気持ちは、痛いほど分かる。
目の前にいる三人とは、
キメツ学園生徒時代に再会した。
再会した瞬間に、
『今世では生きてっか炎柱ー!』
と、宇髄に言われた事は、一生忘れないだろう。
少なくとも俺は、
記憶を持った三人と再会できた事が、
嬉しかった。
「…忘れたい記憶、か」
「んだよ煉獄、えらく気にするじゃねーの」
「むぅ…」
「…ほーん、なるほどね。そこのおねーさーん」
「!は、はぁい」
ニヤリ、と嫌な笑みを浮かべた宇髄は、
近くにいた女性店員を呼んだ。
「さっきまでいた子、学生?」
「さっき…あ、Aちゃんですか?20歳って言ってたし、確か大学2年生ですよ」
「ふーん、結構バイト来てんの?」
「学費稼がないといけないからって、ほとんど入ってるんです。頑張り屋さんですよねぇ」
「…んな個人情報ベラベラ喋っていいもんかねェ」
「あっ…!な、内緒にして下さいねっ!」
はいはーい、と笑顔で手を振った宇髄に、
女性店員は顔を赤くして去って行った。
宇髄と話す女性は大抵こうなる。
…A、
教えてもらった名前を心の中で呟く。
どうして彼女が気になるのか、
今の俺には分からない。
「だってよ、煉獄」
「?何だ?」
「毎日のようにいんなら、また来りゃ会える」
「!…それは、迷惑になるのではないだろうか」
「露骨に避けてたしなァ」
「でも、気になんだろ?」
宇髄の言葉に、
俺は眉を顰めた。
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ちゃも(プロフ) - すごく好きな内容でした!キュンキュンしたり感動の涙を流したりしてしまいました!続編待ってます! (2023年1月11日 1時) (レス) @page50 id: fdbe52dffa (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 澪凪さん» 最後までお付き合い下さりありがとうございましたー!。゚(゚´ω`゚)゚。 亀更新ですみません。゚(゚´ω`゚)゚。 また長編書く際も読んでもらえると嬉しいです! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 京華さん» 長らくお待たせしてしまって申し訳ないです。゚(゚´ω`゚)゚。 完結まで見届けて下さって感謝しかありません。゚(゚´ω`゚)゚。 ありがとうございました! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 完結おめでとうございますっ!!いやもう素晴らしすぎてトリコになっていました!!!お疲れ様でした!!!! (2021年9月29日 21時) (レス) @page50 id: f9618e512a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 完結おめでとうございます!ユリアさんの煉獄さんは格好良くて本当に大好きです!ユリアさんの煉獄さん愛が滲み出すぎて私は毎回溺れています、笑...不甲斐ないなんてとんでもない!更新嬉しかったです!ありがとうございました!!! (2021年9月27日 23時) (レス) @page50 id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2021年3月27日 23時