あなたはいつだって〈煉獄杏寿郎〉

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急に悪かったな、



次にテーブルに料理を運んだ際、

宇髄さんはそう一言告げて。



それからはもう、
何も言われなかった。





平日だということもあり、

お客さんもいつもより少ないためか、


四人の会話はどことなく耳に入ってくる。





「あの猪頭…性懲りも無く被ってきやがってよォ」

「竈門のピアスもそうだ。我妻の髪も。何度校則違反だと言っても無駄だ」

「授業態度はいいのだがなぁ！」

「いいじゃねぇの、派手でよぉ」





どうやら、校則違反の話らしい。



高校の教師をしているようだ。


今世でも導く側の人間だとは。さすが柱だ。




でも一つ気になる。



…先生方のその髪色は、

校則違反にはならないのだろうか。





「Aちゃん、今日は少ないし、もう上がっていいよ」

「あ、はーい！」





明日は1限目から講義がある。助かった。


お先しまーす、と声を掛けたあと、


振り向いた先で、

バチっと…目が、合った。



そして、



小さく、笑った。




赤くなる顔を隠すように、

慌ててお辞儀をして、更衣室へ向かった。




嫌だ、


もう今は、違うんだ、


…あの頃とは、違う、





「…煉獄、さん」





遠い存在だと、分かっていた。


だから何かを望むこともなく、

ただ、…憧れていた。



そう、

ただの、憧れだ。




煩く鳴る心臓の音なんて、



…聞こえない。








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