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「うーん……やりすぎてしまったな」
隣で眠るAの髪を掬う。
疲れ切っているのか、全く起きる気配はない。
辛抱していた分もあるが、
俺のAにあの男が触れたのだと思うと…抑えが効かなかった。
完全なる八つ当たりだ。不甲斐ない。
Aを起こさぬようベッドをそっと抜け出し、
そのままベランダへと向かう。
『ーーー…おう、』
「すまない、連絡が遅くなった」
『おー、お楽しみは終わったかよ』
「お陰様で、思う存分愛させてもらったぞ!」
『素直に答えんな阿呆』
後は任せろと言う宇髄や不死川の言葉に甘え、
Aを連れて学園を後にした。
その後どうなったのか、
『理事長の耳にも入って、そのまま引き受けるってよ。ありゃもう先はねぇな』
「ご愁傷様だな!!」
『…珍しく派手に怒ってんじゃねぇの』
「…そうだな。怒りですっかり我を忘れてしまった。止めてくれて感謝する」
なかなかの実物だったぜ、と電話口で笑う声が聞こえ、
釣られて口元が緩んだ。
今も昔も、…頼りになる男だ。
礼は今度Aの店で奢ってくれ、らしい。
不死川と冨岡も誘って、また4人で行こうと伝えて通話を終了した。
「…杏寿郎さん?」
「っ、起こしてしまったか、」
「……目が覚めたら、隣にいなかったから」
振り向いた先に、Aが不安そうに立っていた。
ゆっくり近付いてきて、遠慮がちに抱きしめられる。
…うーん、愛い。
「宇髄と電話していたんだ。不安にさせてすまない」
「…ううん、大丈夫」
「身体が辛いだろう!ベッドに戻ろう」
「!…う、ん」
小さく頷くA。
素直な彼女はどうしてこんなにも愛いのか。
いや、いつも可愛らしいが…。
動かない俺に、不思議そうに見上げたA。
その無防備な表情に、堪らず口付けを落とす。
少し驚いたように身体を震わせたが、
抵抗する事もなくゆっくりと目を閉じた。
「…よもや、参ったな」
「…?」
「あれだけ無体を強いたというのに、…抱きたくて堪らない」
「っ…!?」
「耐え性が無さすぎるな!不甲斐なしだ!」
恥ずかしそうに顔を赤く染めて、
俺を抱きしめる腕に力を込めた。
そして小さく、"あと一回だけね、"と呟いた。
…すまない、A。
それは守ってやれる保証はない。
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ちゃも(プロフ) - すごく好きな内容でした!キュンキュンしたり感動の涙を流したりしてしまいました!続編待ってます! (2023年1月11日 1時) (レス) @page50 id: fdbe52dffa (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 澪凪さん» 最後までお付き合い下さりありがとうございましたー!。゚(゚´ω`゚)゚。 亀更新ですみません。゚(゚´ω`゚)゚。 また長編書く際も読んでもらえると嬉しいです! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 京華さん» 長らくお待たせしてしまって申し訳ないです。゚(゚´ω`゚)゚。 完結まで見届けて下さって感謝しかありません。゚(゚´ω`゚)゚。 ありがとうございました! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 完結おめでとうございますっ!!いやもう素晴らしすぎてトリコになっていました!!!お疲れ様でした!!!! (2021年9月29日 21時) (レス) @page50 id: f9618e512a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 完結おめでとうございます!ユリアさんの煉獄さんは格好良くて本当に大好きです!ユリアさんの煉獄さん愛が滲み出すぎて私は毎回溺れています、笑...不甲斐ないなんてとんでもない!更新嬉しかったです!ありがとうございました!!! (2021年9月27日 23時) (レス) @page50 id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2021年3月27日 23時