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「君は自分が情けない人間だと言ったな」
…言った。
本当に、その通りだから。
私が思った事が表情に出てしまったのか、
むに、と頬を摘まれてしまった。
「何故君はそう自分を卑下する。情けない人間は、そもそも一人で立ち向かおうとはしない」
「…でも、結局一人じゃ何も出来なかった、…いつも杏寿郎さんや皆さんに助けてもらって、」
「その為に俺がいる!!…それくらいのことはさせて欲しい」
私の頬を伝う涙を指で掬いながら、杏寿郎さんが眉を下げる。
…でもそれじゃあ、
守ってもらう為に側にいてもらうみたいだ。
「む、また良からぬことを考えただろう」
「……守ってほしくて、側にいるわけじゃない」
「!…ははは、それはそうだな!」
「私は、杏寿郎さんが好きで…一緒に居たいから、」
「うむ!もちろん、俺も同じだ。故にその為に起こりうる障害は、俺が全て何とかしよう!!…俺を頼れと言ったのは、Aと共に生きていきたい俺の我儘だ」
そう言えば、少しは納得してくれるか?
困ったように言われた言葉が、
ぐるぐると頭の中をまわる。
俺の、わがまま。
共に生きていきたい……
「回りくどい言い方は苦手だ!だが今伝えてしまうのは君を困らせてしまうからな」
「……え、と」
「帰ろう、A。君と恋人同士に戻れる日を、俺はずっと待ち焦がれていたんだぞ」
実習中はプライベートで会わない、
私の我儘に付き合ってくれていたのを思い出す。
そうだ、今日はその解禁日だった。
不貞腐れたように口を結んだ杏寿郎さんに、思わず吹き出してしまう。
「笑い事ではないぞ。目の前にいる、それなのに君に触れられないという日々は拷問だった」
「そ、そんな大袈裟な…」
「抱きしめたい、口付けたい、抱きたい、欲を上げだしたらキリがないが、俺は我慢したぞ!!」
「わっわかりましたから…っ!」
恥ずかしい、穴があったら入りたい。
熱が集まる顔を隠すように布団を手繰り寄せる。
その手を杏寿郎さんに掴まれ、
そのまま、その手にキスをされた。
「君が西条により与えられた恐怖は、俺が全て忘れさせる。俺のことだけを考え、そして溺れればいい」
「あ…の…杏寿郎、さん?」
「よもや、今まで怖がらせまいと欲を抑えていたばかりに、このような事態を招こうとはな」
「杏寿郎さん、あの…」
「覚悟しておくといい。…これからは、手加減はなしだ、A」
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ちゃも(プロフ) - すごく好きな内容でした!キュンキュンしたり感動の涙を流したりしてしまいました!続編待ってます! (2023年1月11日 1時) (レス) @page50 id: fdbe52dffa (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 澪凪さん» 最後までお付き合い下さりありがとうございましたー!。゚(゚´ω`゚)゚。 亀更新ですみません。゚(゚´ω`゚)゚。 また長編書く際も読んでもらえると嬉しいです! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 京華さん» 長らくお待たせしてしまって申し訳ないです。゚(゚´ω`゚)゚。 完結まで見届けて下さって感謝しかありません。゚(゚´ω`゚)゚。 ありがとうございました! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 完結おめでとうございますっ!!いやもう素晴らしすぎてトリコになっていました!!!お疲れ様でした!!!! (2021年9月29日 21時) (レス) @page50 id: f9618e512a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 完結おめでとうございます!ユリアさんの煉獄さんは格好良くて本当に大好きです!ユリアさんの煉獄さん愛が滲み出すぎて私は毎回溺れています、笑...不甲斐ないなんてとんでもない!更新嬉しかったです!ありがとうございました!!! (2021年9月27日 23時) (レス) @page50 id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2021年3月27日 23時