あなたはいつだって〈煉獄杏寿郎〉

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あれから毎日、

気が付けば、視線を感じるようになった。



もしかしたら、今までもそうだったのかも知れない。

意識していなくて、気付いていなかっただけで。





「…あと二日か」

「冨岡先生には、本当にたくさん勉強させて頂きました、！」

「…お前は根性がある。…いい教師になれる」

「……！！」





うわ、嬉しい。


すごく熱血で、でもそれを表情には出さずに

生徒達の心を確実に強くしてくれてる。


口数は少ないけれど、
間違いなく尊敬できる先生だ。





「冨岡先生みたいな立派な体育教師になります…！」

「いや、冨岡みたいにはならないほうがいいだろ」

「そこは見習う所じゃねぇなァ」

「…(心外！)」





宇髄先生と冨岡先生の言葉に、思わず笑ってしまう。



本当に、楽しい実習だった。

先生方も皆優しくて、いつだって気遣ってくれて、



何より、





「Aの笑顔には、生徒たちはおろか俺達教師陣も癒やされているからな！」

「オイそこ惚気んなー」

「本当の事だろう！！」

「声がデケェ」





杏寿郎さん…"煉獄先生"を、

間近で見られてよかった。



生徒に慕われる姿も、

熱い授業風景も、

…女生徒にモテるのも。


ここに来なければ、知らなかった杏寿郎さんだ。



何だか杏寿郎さんにもっと近づけた気がして、嬉しい。





「お前はアレだろ、プライベートで会えるの解禁になるのが待ち遠しいんだろ」

「…否定はしない！！」

「やめろ宇髄、コイツは嘘つけねぇ分厄介だァ」

「ちょっ…煉獄先生、」

「楽しそうですねぇ」





伸ばしかけた手が、止まる。


聞こえた声に、身体が強張る。

いけない、態度に出したら気付かれる。





「本当に、寂しくなりますね」

「……大学に戻って、もっと勉強頑張ります」

「ここに就任したりしてな」

「…歓迎する」

「そうなれば、冨岡先生とA先生で、飴と鞭ねぇ」





胡蝶先生が楽しそうに笑う。

他の先生にも、気付かれた様子はない。


ちらりと視線を西条先生に向けると、

いつもの笑顔で杏寿郎さんと話している。



あと、二日。


ちゃんと、解決しないと。






小さく拳を握った私を見ていた一つの視線に、


その時は、気がつかなかった。








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