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「どうぞ、」
「う、うむ!ありがとう!いただきます!」
アパートの前まで送ってくれた杏寿郎さん。
そのまま帰ろうとするのを何とか呼び止めて、
何とか部屋に上がってもらった。
ホットコーヒーを淹れてテーブルに置くと、
ソワソワした杏寿郎さんがビクッと身体を震わせた。
「杏寿郎さん…?」
「っ…女性の、部屋に上がったのは初めてなんだ」
「あ…」
「今日恋人になったばかりの相手の部屋に上がり込むなど!俺は正直ものすごく困惑している!そして緊張している!だが誓って何もしないと約束する!!」
「……ふふっ…あははっ…!」
赤くなった顔で、
上を向いたままそう声を上げた杏寿郎さん。
何だか可笑しくて、笑ってしまった。
さっきまで、あんなに怖かったはずなのに。
助けに来てくれた。
恋人だと、言ってくれた。
…この人が、大好きだ。
「…いいんですよ、そんな約束しなくても」
「、…A、?」
「私と杏寿郎さんは、もう恋人同士です。…好きだから、触れたいって思うのは…私も同じです」
好きで、胸がいっぱいになる。
驚いたように見開かれた杏寿郎さんの目と視線がぶつかり、
私は我にかえる。
…今、私、
「っご、ごめんなさいっ!私っ…その、」
「…謝らなくていい。……そうか、君の言う通りだな」
優しく笑って、
そのまま手を引かれ、抱きしめられる。
その温もりに、
感じる鼓動に、
私はこれ以上ないくらい、
心が満たされていくのが分かった。
「…今までにも、今日のような事があったのか?」
「っ……スキンシップの多い人だなぁ、とは思ってました。…でも、今日みたいなのは初めてです、」
「…そうか。……怖かったな」
「っ…!」
もっと早く、駆け付けていればな。
そう悔しそうに漏らして、
抱きしめる腕に力を込めた。
あぁ、
私は、
どうしようもないくらい、
杏寿郎さんが、好きだ。
「…杏寿郎、さん、」
「…ん?」
「……キス、したい」
もう怖くなんてない、
杏寿郎さんが悔やむ事なんてない、
私はあなたに、
こんなにも、幸せをもらっているのに。
杏寿郎さんを好きなこの想いを、
少しでも、伝えたい。
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ちゃも(プロフ) - すごく好きな内容でした!キュンキュンしたり感動の涙を流したりしてしまいました!続編待ってます! (2023年1月11日 1時) (レス) @page50 id: fdbe52dffa (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 澪凪さん» 最後までお付き合い下さりありがとうございましたー!。゚(゚´ω`゚)゚。 亀更新ですみません。゚(゚´ω`゚)゚。 また長編書く際も読んでもらえると嬉しいです! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 京華さん» 長らくお待たせしてしまって申し訳ないです。゚(゚´ω`゚)゚。 完結まで見届けて下さって感謝しかありません。゚(゚´ω`゚)゚。 ありがとうございました! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 完結おめでとうございますっ!!いやもう素晴らしすぎてトリコになっていました!!!お疲れ様でした!!!! (2021年9月29日 21時) (レス) @page50 id: f9618e512a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 完結おめでとうございます!ユリアさんの煉獄さんは格好良くて本当に大好きです!ユリアさんの煉獄さん愛が滲み出すぎて私は毎回溺れています、笑...不甲斐ないなんてとんでもない!更新嬉しかったです!ありがとうございました!!! (2021年9月27日 23時) (レス) @page50 id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2021年3月27日 23時