あなたはいつだって〈煉獄杏寿郎〉

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『宇髄におすすめの店を聞いたんだ！』



そう杏寿郎さんが言っていたのを思い出す。


…デート、


杏寿郎さんも、そう思っていてくれたんだって

何だかむず痒い気持ちになった。





「あんな舞い上がった煉獄初めて見たぜ？Aチャン今日大丈夫だった？」

「え、あ…全然、そんな、…とても、楽しかったです…」

「あららー真っ赤になっちゃって」

「あんま揶揄うんじゃねェ宇髄」

「しっ失礼しますっ！！」





恥ずかしい。

穴があったら入りたい。



逃げるようにテーブルを離れて、

熱くなった顔をパタパタとお盆で仰いだ。





「あのテーブルの人達、知り合い？」

「っ…東堂さん、」

「どういう関係？」





声に振り返ると、

眉間に皺を寄せた表情の東堂さんがいた。


どうしたんだろう。
今日の東堂さんは、何かおかしい。


いくらスキンシップが多かったからって、

こんなふうに、責めてくることなんてなかったのに。


何だか、怖い。





「知り合い、ですけど、…どうしてそんなこと聞くんですか？」

「……害虫め」

「？すみません、聞こえなくて…あの、もう一回言ってもらえませんか？」

「何でもないよ」





にこっと笑って、離れていった。


笑って、いたのに。

…目が、とても笑ってなかった。



どうしよう、

本当に、怖くなってきた。



宇髄さん達に……

いや、そんな話をするなんて迷惑をかけるだけだ。





「2番テーブルさんでーす」

「っは、はーい！」





こんな時、


私はどうすればいいのだろう。



でもただの勘違いかもしれない、

そうなれば、ただの被害妄想だ。



よぎる不安に気付かないフリをして


私は仕事に打ち込んだ。









「……分かりやすいねぇ」

「ったく…面倒事に巻き込まれちまったなァ」

「ま、俺らで対応してやってもいいけど…ここは彼氏の出番ってやつだろ」





そんな会話が

なされている事も知らずに。









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