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杏寿郎さんが言う、
"伝えたいこと"が何なのか。
色んな憶測ばかりが浮かんでは消えて。
それでも確かに、
自分が怯えているのが分かった。
「こんな事なら、車で来るべきだったな!疲れただろう?」
「え!杏寿郎さん、車持ってるの?」
「うむ!あまり乗ることはないがな!」
「運転する杏寿郎さん…想像つかない…」
でもきっと、
すごくかっこいいんだろうな…。
心の中で呟く。
次はドライブだな!と笑った杏寿郎さんに、
私も笑い返す。
次、が、あるのだろうか。
「ここは景色がいいな!海が見える!」
「今日は天気がいいから、陽の光が反射してキラキラしてる…綺麗、」
「……うむ!これ以上ない場所だ!!」
お店を出てしばらく歩いた先、
辿り着いたのは、
海が見える小さな広場だった。
少し離れた場所に水族館も見える。
手摺りに手を掛けて海を眺めていると、
杏寿郎さんがそう声を上げた。
そして、
私の名前を呼んだ。
「君と出会って、話をして、…俺は気付いた事がある」
「……」
「…暴かれたくなかっただろう君の過去を、俺の為に話してくれたあの日から。…君に抱くこの感情が何なのか、俺は答えを探していた」
真っ直ぐに向けられる視線に、
目を、逸らせない。
ドクドクと血が音を立てるのが分かって、
ぎゅっと手を握りしめた。
「回りくどい言い方は、男らしくないな!…A、俺は君が好きだ」
「……ぇ、?」
「会って日も浅い、信じられなくとも無理はない。だが俺は嘘は言わない!!」
「…ぇ、あ……え?」
「Aともっと時間を共に過ごしたい!そして許されるのなら、Aに触れたい!」
「触れ……っ!?」
待って、
待って、
思考が追いつかない。
私は今、告白されてるの?
伝えたいことって、
私のことが、好きだって事だったの?
「…私、が、…好き?」
「好きだ」
「…杏寿郎さんが、?」
「俺は杏寿郎だ!!」
「…付き合いたい、って、こと?」
「む、そうか…こういう時は、付き合ってほしいと言うべきだったか!」
告白する、というのは難しいな!
と少し照れたように笑った杏寿郎さんに
私は生涯で一番の、
間抜け顔を浮かべていたと思う。
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ちゃも(プロフ) - すごく好きな内容でした!キュンキュンしたり感動の涙を流したりしてしまいました!続編待ってます! (2023年1月11日 1時) (レス) @page50 id: fdbe52dffa (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 澪凪さん» 最後までお付き合い下さりありがとうございましたー!。゚(゚´ω`゚)゚。 亀更新ですみません。゚(゚´ω`゚)゚。 また長編書く際も読んでもらえると嬉しいです! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 京華さん» 長らくお待たせしてしまって申し訳ないです。゚(゚´ω`゚)゚。 完結まで見届けて下さって感謝しかありません。゚(゚´ω`゚)゚。 ありがとうございました! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 完結おめでとうございますっ!!いやもう素晴らしすぎてトリコになっていました!!!お疲れ様でした!!!! (2021年9月29日 21時) (レス) @page50 id: f9618e512a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 完結おめでとうございます!ユリアさんの煉獄さんは格好良くて本当に大好きです!ユリアさんの煉獄さん愛が滲み出すぎて私は毎回溺れています、笑...不甲斐ないなんてとんでもない!更新嬉しかったです!ありがとうございました!!! (2021年9月27日 23時) (レス) @page50 id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2021年3月27日 23時