あなたはいつだって〈煉獄杏寿郎〉

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アパートまで送り届けてくれた煉獄さんは。



また明日話をしよう！と

それはもう爽やかな笑顔で、声を上げて帰って行った。



…長い夢でも見ているのだろうか。



昨日からの怒涛の展開に、

全く頭が追いついていない。





「……また、明日」





明日も、会える。



嬉しく思ってしまった自分に、

慌てて頭を振った。



煉獄さんは、
近しい人物ではない、前世を記憶する人間に、

話を聞きたかっただけだ。



でも私はそれに応えられなかった。



その上、自分の未熟さをひけらかし、

同情心を煽るような結果になってしまった。



…だから明日も話そうと、

きっと煉獄さんは、
私を元気づけようとしてくれたのだ。



嬉しいけれど、

情けない。





「……優しい人だなぁ、」





あんな先生なら、

高校時代、もっと真面目に勉強したのになぁ。


一番後ろの席まで、声がはっきり届きそう。


いつも大きな声で話す煉獄さんを思い出し、

自然と、笑ってしまった。



スマホを取り出し、

ディスプレイに表示された"煉獄さん"の文字に


何だか、ドキドキした。



…明日はちゃんと、笑顔で話せるかな。



煉獄さんや、柱の皆さん、竈門くんたち、

最後まで戦ってくれた皆が開いた未来。


その先に見た景色を、

煉獄さんにちゃんと、話したい。



そして伝えたい。



あなたはずっと、

皆と一緒に、戦っていたのだと。



伝わってほしい。



今世であなたに会えたことが、

私も、そしてきっと、宇髄さん達も。


本当に、嬉しいのだと。





「……伝わると、いいな」





ディスプレイをなぞり、


私は静かに、目を閉じた。








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