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違う、
違うよ、煉獄さん。
もう言わないで、
言わなくて、いいから、
「……私、は、…あなたの知りたいことは、教えられません」
「……」
「最後の鬼との戦いで、片腕を失ってしまって。…最終戦には、参加できませんでした」
「っ…そう、か」
「私がお話できるのは、…宇髄さん達と同じ、平和になったその後のお話だけです」
思わず抱きしめてしまった。
身体を離そうとすると、
背中に手を、回された。
「っ…!」
「すまない、少し…このまま」
「ぁ…は、い…」
「…君も、俺と同じだな」
力のない声が耳元で聞こえ、
私は涙が溢れた。
「…私は、煉獄さんみたいに…強くなかったです」
「はは、…君はどの呼吸を?」
「私も、炎の呼吸です。…だから煉獄さんには、憧れてました」
「!そうだったのか!」
「耳がっっ」
「む!…すまん、」
慌てて身体を離した煉獄さんは、
申し訳なさそうに眉を下げた。
何だか可愛い煉獄さんに、
思わず笑ってしまった。
「一度だけ、煉獄さんの玖ノ型を見たことがあるんです。…本当に、全身が震えました」
「…己の名を冠した技だからな。俺も会得には苦労した!」
「あんなにカッコいい技、他にありません!…あの日から、私も煉獄さんのように強くなりたいって…そう、強く思ったんです」
無限列車で、
乗客も、竈門隊士達も、
誰一人死なせなかった。
それを聞いて、
私はもっと、あなたのように強くなりたいと思ったはずなのに。
「…煉獄さんと私は、同じなんかじゃないです。…私はあなたみたいに、強くはなれなかった」
「……A、」
「今もそう。…昨日逃げたのは、前世で最後まで戦えなかった情けない自分を、知られたくなかったから」
暴かれたくなかった。
思い出したくなかった。
こんな弱い自分を、
知られたく、なかった。
「煉獄さんのように、…自分を貫くことも出来ない、腰抜けです」
「A!!」
「っ!?は、はいっ」
「明日も仕事があるのだろうか!!」
「あ…したは、休み、です」
「そうか!ならば明日俺に時間をくれないだろうか!」
立ち上がり、
そう声を上げた煉獄さん。
…え?
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ちゃも(プロフ) - すごく好きな内容でした!キュンキュンしたり感動の涙を流したりしてしまいました!続編待ってます! (2023年1月11日 1時) (レス) @page50 id: fdbe52dffa (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 澪凪さん» 最後までお付き合い下さりありがとうございましたー!。゚(゚´ω`゚)゚。 亀更新ですみません。゚(゚´ω`゚)゚。 また長編書く際も読んでもらえると嬉しいです! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 京華さん» 長らくお待たせしてしまって申し訳ないです。゚(゚´ω`゚)゚。 完結まで見届けて下さって感謝しかありません。゚(゚´ω`゚)゚。 ありがとうございました! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 完結おめでとうございますっ!!いやもう素晴らしすぎてトリコになっていました!!!お疲れ様でした!!!! (2021年9月29日 21時) (レス) @page50 id: f9618e512a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 完結おめでとうございます!ユリアさんの煉獄さんは格好良くて本当に大好きです!ユリアさんの煉獄さん愛が滲み出すぎて私は毎回溺れています、笑...不甲斐ないなんてとんでもない!更新嬉しかったです!ありがとうございました!!! (2021年9月27日 23時) (レス) @page50 id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2021年3月27日 23時