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結局。
手短に済ませようということで、
近くの公園のベンチに座った。
昨日会ったばかりの男性に、
うちに来ませんか?的な事を言ってしまうなんて。
軽い女だと思われたに違いない。
「早速だが、確認させてほしい!…君は、鬼殺隊の一員だったのか?」
「…単刀直入ですね」
「はっきり聞いた方が早い!」
「……そう、ですね、…その通りです」
「!…君は、前世鬼殺隊だった頃の記憶があるのか?」
「……はい」
貰ったコーヒー缶を、ぎゅっと握る。
初めて、だ。
前世の記憶についてを、
誰かと、話すのは。
チラリ、と煉獄さんを見ると、
どこか寂しげに、笑っていた。
「…そうか」
「…煉獄さんも、覚えていらっしゃるんですね」
「うむ!幼い頃より存在したもう一つの記憶が、前世のものだと知ったのは、宇髄達に出会ってからだがな!」
「宇髄さん達…柱の皆さんは、全員覚えていらっしゃるんですか?」
「いや、あの三人の他はおそらく記憶していないだろう。生徒にも見知った顔はいるが、皆覚えていないようだ」
少し、ホッとした。
確かに私も、
煉獄さん達に会うまでは、記憶を持った人を知らなかった。
誰かに打ち明けたりもしていない。
…今こうして話すのが、初めてなのだ。
「…でも、昨日の三人は、…覚えていらっしゃるんですよね」
「そうだな!三人とは同じ高校で再会したんだ」
「…よかったですね」
「……君は?」
煉獄さんの声に、顔を向ける。
真剣な眼差しを向けられ、
思わず息を呑んだ。
ああ、
駄目だ。
答えちゃ、駄目だ。
「気になっていたんだ。記憶があると、頑なに認めようとしない君の態度が」
お願い、
「…君にとっては、記憶から消したい世界なのか?」
私の中に、入ってこないで。
「……君のそばに、鬼殺隊としての前世を知る人間はいないのか?」
…ああ、
最悪だ。
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ちゃも(プロフ) - すごく好きな内容でした!キュンキュンしたり感動の涙を流したりしてしまいました!続編待ってます! (2023年1月11日 1時) (レス) @page50 id: fdbe52dffa (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 澪凪さん» 最後までお付き合い下さりありがとうございましたー!。゚(゚´ω`゚)゚。 亀更新ですみません。゚(゚´ω`゚)゚。 また長編書く際も読んでもらえると嬉しいです! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 京華さん» 長らくお待たせしてしまって申し訳ないです。゚(゚´ω`゚)゚。 完結まで見届けて下さって感謝しかありません。゚(゚´ω`゚)゚。 ありがとうございました! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 完結おめでとうございますっ!!いやもう素晴らしすぎてトリコになっていました!!!お疲れ様でした!!!! (2021年9月29日 21時) (レス) @page50 id: f9618e512a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 完結おめでとうございます!ユリアさんの煉獄さんは格好良くて本当に大好きです!ユリアさんの煉獄さん愛が滲み出すぎて私は毎回溺れています、笑...不甲斐ないなんてとんでもない!更新嬉しかったです!ありがとうございました!!! (2021年9月27日 23時) (レス) @page50 id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2021年3月27日 23時