僕らは食用.人間2［約束のネバーランド］ (ページ24)

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　鬼の大きな手で器用につけていく。前髪を耳にかけてピンを止めれば左目だけ見える。

　ソンジュの顔をこんなに髪が邪魔することなく見ることができるのはやはりこれが邪魔していたのだろう。

A「これでいいの？」

ソンジュ「ああ。弓を持て、見えると見えないじゃ感覚も変わってくる。」

　ソンジュから弓をもらって、教えてもらった通りに構える。構えまでは別になんとも思わないのだが、今回はちょっと違った…。よく見える分、的の中心だと思っていた場所から少しずれていた。

　中心に合うように少し動かして放つ。最後の最後にブレてしまって狙っていたところには当たらなかったが、はじめての感覚だった。

A「なんか…もう少しでどうにかなりそうな気がする…」

ソンジュ「最後にブレてしまうのはまだどこか怖がっているところがあるんだろう。あと少しで的には当たりそうだな。」

A「うん。」

ソンジュ「肩の力も少し弱いな。もう少し背中を寄せて体を張らせるイメージですればいい。」

　体を張らせるって…

ソンジュ「背中を一本の筋だと思うんだ。」

　弓を構えて色々としていた僕の背中にソンジュは指でスーッとなぞった。

A「んっ…ちょっとソンジュ。こしょばゆいから。」

ソンジュ「だが背筋は伸びたぞ、今の感じだ。また出来なくなったらするからな。」

　うわっ、意地悪だな。せっかく我慢したのに、次急にされたら弓と矢離れそうなんだけど…。

　ソンジュとこうして少しの間だが、戦っていた…。