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「Aってほんま強いんか弱いんか分からんよな」
『え...？』
その瞬間、手を引かれて私は彼の腕の中にいた。
『ちょっ、ここ会社...』
「誰もおらんよ」
「すごいなんかあったって顔してんのに今にも泣いてしまいそうやのに、絶対泣かんやん」
抱きしめられてるせいで表情が見えない。
だけど、酷く優しい声をしていた。
「あいつの時も、、今も」
なんで...
なんでそんなに優しい声で話すの
さっきまで何事もない風にしてたじゃん...
自分の中にあったモヤモヤとした感情がスッと消えていくのがわかる。
私の瞳から涙が頬を伝うのがわかった。
いつから泣いてないんだろう
大人になればなるほど声をあげて涙を流す事が無くなった。
本当はずっとこんな風に泣きたかったのかもしれない
するとその時、スマホが鳴り始める。
北人からだった。
「もしかしてあいつ？」
『え、あ、うん。』
「貸して」
“あ、もしもしA？”
“今大丈夫？”
私からスマホを奪い取った彼は、そのままそれを耳に当てる。
「ごめんやけど、今あいつ泣いてるからさ、ちょっと後にしてもらってええ？」
「あ、あと俺、譲る気無いわ、Aのこと」
「じゃ。」
“ちょっ、待っ”
北人からの返事を待たずに電話を切った彼は、私にスマホを手渡してきた。
「それじゃあ、もう俺行くわ」
とだけ言って屋上を去る彼の姿を見送った。
『なんなの...もう』
器用なようで不器用な真っ直ぐな彼らしい想いに思わず笑みが溢れた。
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フルール(プロフ) - 愁(ｼｭｳ)さん» いつも読んで頂いてありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。不定期になりますが、今作も楽しんで頂けるよう頑張りますね(^^) (2021年1月3日 20時) (
レス) id: b1c3d2b542 (このIDを非表示/違反報告)
愁(ｼｭｳ)(プロフ) - 新作スタート、おめでとうございます。そして、今年も宜しくお願い致します。切ない始まりですが……先の色々な出来事を想像させて貰える展開に、新たな楽しみが増えました。くれぐれも、ご無理のない様に進めて下さいね。 (2021年1月2日 20時) (レス) id: 2a9117ff92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フルール | 作成日時：2021年1月1日 19時
