姫金魚草 (ページ7)

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「どんな人なんですか？その幼馴染。」

聞きたくないけど聞きたい。
でも聞いてしまったのは、聞きたいという深層心理なのだろうか。

『真っ直ぐで誠実な人だよ。』

ああ、僕の入る隙なんて無いんじゃないか。そう思ってしまった。

「ステキな人なんですね。」

『うん。とってもいい人。』

幼馴染でいい人とかもう勝ち目ないじゃん。

壱馬さん、上手くいくどころかアピールすらできずに失恋したかもしれません、と心の中で叫んだ。

あの後、明日も早いからと理由を付けて帰ってきてしまった。これ以上、Aさんの好きな人のことを聞く勇気がなかったから。

自宅へと辿り着き、力なくソファーになだれ込むと、思い出したくなくても蘇ってくるAさんの嬉しそうな表情。

はあ、とため息をつくも程よく飲んでいたため眠気が襲ってくる。

飲んでてよかったわ。シラフだったら耐えられてなかった。

明日の朝になったら全部夢であって欲しい。
そう思いながら眠りについた。

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