姫金魚草 (ページ39)

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迎えた翌日。

完全に勢いに乗せて言ってしまった“好き”という言葉。

壱馬さんと西園寺さんを見て落ち込むAさんを見ていたら、僕が幸せにしたい、そんな表情をさせたく無い、と思ってしまった。

しかも、返事を聞くのが怖くて、言わせないようにしちゃったし。

いまになって少しずつ湧き上がる後悔の気持ち。

しかし、ただひとつ、引っかかることがある。
どうして、壱馬さんと西園寺さんが一緒にいたのか
果たして、2人は本当に付き合っているのか

そしてそれを今日、僕は直接確認しにきた。

空いている会議室で、壱馬さんを待っているとｶﾞﾁｬと開いたドア。

壱馬さんとはLIVEのリハも別々だった為、こうして会うのは久しぶりで。
幾分か、壱馬さんの表情は疲れているように見えた。

「お疲れ様です、壱馬さん。すみません、急に呼び出して。」

『お疲れ、全然ええよ。どうしたん？』

「ちょっと聞きたいことがあって。すみません、単刀直入に聞きますね」

「この前、Aさんといた時壱馬さんと西園寺さんが一緒にいるところ見たんですけど、お2人は付き合ってるんすか？」

Aさんの名前を出した瞬間、壱馬さんの顔が深刻なものに変わる。

そこでようやく、なんとなく気付いていた壱馬さんの気持ちに確信を抱いた。

『ああ、そうやな。付き合っとる。』

一切表情を崩さない壱馬さんだけど、僕にはそれが嘘に思えた。毎日一緒にいるのだから、それくらいわかる。

僕には本当のことを言って欲しい、と願いを込めて次の質問する。

「本当に西園寺さんのこと好きなんですか？」

『好きに決まっとるやん。』

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