姫金魚草 (ページ27)

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(壱馬side).

『わたし、壱馬くんをテレビ局で見かけてから一目惚れしちゃったの。』

こんなにストレートに告ってくるのもすごいけど、こんなにときめかない告白も初めてで。

「脅して付き合うもんじゃないやろ、てか俺は付き合いたくないんやけど」

『いいの、付き合ってから始まる恋もあるでしょ？』

だが彼女が一瞬切なそうに笑ったのは気のせいだろうか。俺が好きになることは絶対無いけどな。

『じゃあこれ週刊誌に載ってもいいの？
もし、幼馴染だって否定したとしてもファンは何するか分かんないし、この幼馴染ちゃん外歩けなくなっちゃうだろうね。』

写真を手で挟んでヒラヒラさせながら言うので奪おうとしたら避けやがった。

「ちっ、。」

「、、、随分と卑怯やな。」

『私と付き合えば、幼馴染ちゃんも今まで通りの生活。引っ越さなくて良いし店も辞めなくて良い。こんな良い話無いじゃない。』

いや違う。もう1つメリットがある。
俺の大事な弟の恋も守ってあげられるってこと。

『あ、ただし、幼馴染ちゃんには会わないでね。』

「は、なんでそんなことまで言『だって壱馬くん好きでしょ幼馴染ちゃんのこと。』

『そしたら私に振り向いてなんかくれないじゃない。』

彼女がAを見たのは、あの雨の日だけのはず。
その頃の俺はまだ自分の気持ちに気付いていなかった。
ということは、この人は、俺自身がAへの気持ちに気付く前から分かっていたんだ。

「分かった。でもその代わり1つ頼みがある。」

「1回でいいからAに会わせて。」

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