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どこか遠い目をして、昔を思い出すような表情をするAさん。
今から聞く話は、僕にとってはダメージが大きいものなのだろうけど、それでも僕はAさんの話を聞こうと心に決めた。
『私と壱馬と楓は、、、あ、楓は今日一緒にLIVE来てくれた子なんだけど、幼稚園から高校までずっと一緒だった。毎日一緒に遊んで、笑って。時には怒られて。2人のおかげで毎日が楽しかった。』
『でも、小学校低学年の頃、私の両親が離婚しちゃってお母さんが1人で私の事育ててくれてたの。
朝、お母さんがね、私より先に仕事に行っちゃうの。それが寂しくて。だけど、ひとりっ子で大人に囲まれて育った私は、人の顔色伺って遠慮して、寂しいって言えない子になってた。』
『そんな時に唯一私の気持ちに気付いてくれたのが壱馬だった。
壱馬もまだ幼かったけど、ある時、大丈夫?って私に聞いてくれた。たった一言だけど、聞いてくれた事が本当に嬉しかった。私は1人じゃないんだって思えたから。壱馬にだけは、私が思ってる素直な気持ちを話せた。』
『それからお互い成長して、いつか分からないくらい自然に私は壱馬の事を好きになった。
でも、その頃にはもう壱馬は、EXILEになりたいって夢を追いかけてた。』
『この前壱馬がTVでも言ってたけど、
壱馬は学生の頃から徹底的に女の子関係を切ってた。その姿を側で見てて本気なんだ、って分かって。
それから私も壱馬と幼馴染だって事を誰にも言わないようになったの。』
『私のこの想いとか、私っていう存在が壱馬の夢を邪魔したくないって思った。この事は楓しか知らなくて、だから慎くんにも黙ってたんだ。』
「そうだったんですね。」
たしかに、僕も壱馬さんのプロ意識には驚かされる事が多い。
それを昔から側で見てきたAさんは尚更それを感じてきたのだろうと分かった。
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作者名:フルール | 作成日時:2020年9月21日 18時