Coral pea -小町藤-2

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「ありがとうございました〜」





本日最後のお客様を見送って、閉店の準備に入る。





いつもなら最後の片付けまでやって帰るが、店長に今日はもう上がっていいよと言われたのでお言葉に甘えてお先に失礼することに。






まんまるい月が幻想的に街を照らす中、私は1人駅までの道を歩く。





今日は雲ひとつ無いからか、夜空の星も輝いている。
割と市の中心部でこんなにも綺麗に星が見えるのだから、空気の澄んだ所に行けばもっと綺麗に見えるのだろう。





また、綺麗な星空を見たいな
クリスマスは、私が北人くんを素敵な星の見える場所へ連れて行ってあげたいなと考えながら歩く。






あまり上を向いていると人にぶつかってしまうので視線を前に戻すと、前に見知った背中を発見する。





カフェに近いこの通りは、うちの学校の生徒の通学路でもある為誰かしら知り合いに会うことも多い。






『あれ、翔平？』






「あ、A。」







珍しくいっちゃんと帰ってない様子の翔平。
不思議に思って聞こうとすると、翔平の手には彼が行きそうに無い雑貨屋さんの紙袋が握られていた。そこからは、ラッピングのリボンがちらりと見える。






『それ、どうしたの？』





「あー、これはその」





翔平の慌てる様子を察した私。こういう時の女は勘が鋭いのだ。





『ごめん、翔平。玲から聞いた。』





「なんだ、じゃあ隠すこともないのか。」





そう言ってホッとした様子を見せる翔平。玲にプレゼントするつもりなのだろう。



「それでですね...」


「折り入って頼みがあるのですが、クリスマス皆で集まる口実を作ってもらえないでしょうか」




謎な口調で翔平から告げられたその言葉。

玲のことを諦められないからアピールしたくてクリスマスに誘おうとプレゼントまで買ったものの振られた手前、2人きりで会おうって誘いづらいんだと言う。
確かに、そりゃそうだよねと頷く私。私も同じことで悩んでいるのだから。






『じゃあ、、クリスマスパーティー皆でやる？』






私の言葉で飛び上がった翔平は、そのままスキップで帰るのだった。









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