Coral pea -小町藤-2

37-北人side- ページ37

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そして、卒業を間近に控えた日。




デビュー日が正式に決まり、今日はマネージャーとの顔合わせの日。




会議室で待っていると、ドアがｶﾞﾁｬﾘと空いて1人の男性が入ってきた。




『吉野北人です。よろしくお願いします。』




「青山陸です。よろしく」




椅子から立ち上がり挨拶すると、彼の方も自己紹介をしてくれる。
意外にも、年齢が近そうなマネージャーで、さわやかな笑顔を見せてくれた。




色々話を聞いたところ、彼もまたボーカルを目指していたことがあるようで歌のアドバイスもできるのでは無いかということで俺の担当になったらしい。









「――-しなきゃダメだよ。」







「せめて、一人前になるまでは。」






『っ....分かりました』







陸さんから言われた言葉は、俺をひどく悩ませた。だけど、せっかく手にした夢のチャンス。逃すわけにはいかないんだ。



この日俺は、自分の気持ちに蓋をする事を決めた。









「ごめん、急に。」




「や、いいよ。」



マネージャーとの顔合わせの後、
俺は、樹の家へ訪れていた。





「ごめん、あの時の約束守れそうにない。」




“絶対幸せにしろよ”


樹が言ったその言葉に



“言われなくてもするよ”


確かに俺は樹にそう告げた。





「だから...Aを頼みます。」





俺のその言葉に、樹は何も言わなかった。








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