Coral pea -小町藤-2

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季節は進み、少しずつ寒さも和らいできた3月。






何度目のオーディションだろうか




“合格した！”




そのメッセージ受け取ったのは。




北人くんが夢へ1歩近づけた事が自分のことのように嬉しくて。涙を流して喜んだ。





「1番最初の歌は、Aの為に作るし歌うって決めてるから。」





『いまよびすて、、』




突然の呼び捨てに素っ頓狂な声が出てしまう。
私は今どんな顔してるのだろう。





「付き合って3ヶ月だしもうそろそろ呼び捨てしてもいいかなって思ったんだけど...いやだった？」





イヤだったら今まで通りでもと言う北人くんに慌てて否定する。




『全然呼び捨てでいい！むしろ嬉しい！』





勢いに乗せて行ってしまった後で顔が熱くなるのを感じる。





「Aも。呼び捨てで呼んでよ」






『ほっほくと....』





「よくできました」






そう言って柔らかく微笑んだ北人は、その大きな手で私の頭をﾎﾟﾝﾎﾟﾝと撫でてくれた。








彼の夢が叶った日は、私と彼の関係が1歩進んだ日でもあった。



　




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