Coral pea -小町藤-2

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手を繋いで歩く帰り道。




『北人くんはさ、進学するの？就職するの？』




気づけば高2の冬。
もう来年は、卒業の年だ。




「俺は、決めてないかな。でも、歌手になりたくて。」




『そうなんだ…！』




『私は将来の夢とかまだ何もないから、目標があるのって尊敬する。』



私がそう答えると、歩いていた北人くんが足を止めてこちらを見た。




「やめときなよ。って言わないの？歌手になれるか分かんないんだよ？」





『え、なんで？夢があるって凄いことだし、そりゃ、狭き門かもしれないけど、夢に向かって努力することに意味があるって私は思うな。』




「そっか…。」




それを聞いた彼は、何か考えるような表情をしてありがとう、と微笑んだ。



今までに、やめておきなよって言われた事があるのかもしれない。


今思えば、彼がその事について話しているのは1度たりとも聞いたことが無かった。





だけど、彼の事を少しでも知ることができて、私は嬉しかった。彼との関係が深まったような気がしたから。私がまだ知らない彼をもっと知りたい。




「今度、オーディションがあって、それ受けるつもりなんだ。」





『そっか、応援してる。頑張ってね』




そう言って立ち止まっていた私達は、再び歩き出す。


北人くんの歌はまだ一度も聞いた事がないけど、いつか聞いてみたい。そう思った。







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