Coral pea -小町藤-2

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どれくらいそうしていただろう。




たった数分のことなのに、私にはその数分がとても長く感じられた。






私は結局、今まで通りに接してくれる彼に甘えていただけだ。
彼の優しさに甘えて、彼はもう私のことなんて好きじゃないんだ、そう思って接してた。





彼の身体が私から離れると、





「困らせてごめん、また学校で。この後頑張って。」





そう言い残し私の頭をポンポンと撫でた彼は、リビングから出て行った。






いつも通りにしてないと北人くんも翔平も玲も帰ってきてしまうのに、私はそこから動けずにいた。









-樹side-






リビングのドアを閉め、廊下へ出ると壁に寄りかかっている北人と目が合う。





『なに勝手にAちゃんのこと抱きしめてるわけ』




俺、許可してないよと言って笑う北人。





「俺だって言うつもり無かったよ、でも、あんな嬉しそうにお前のこと話すじゃん。」





「絶対、幸せにしろよ。」





じゃないと俺が諦める意味無いし。その意味も込めて言った。





『言われなくてもするよ。』




真っ直ぐ俺の目を見てそう言った北人。





その言葉を聞いた俺は、黙って手を上げAの家を出る。





俺の出る幕は最初から無いってわけか。





見上げた空は、夕日で真っ赤に染まっている。
雲ひとつない今日の空は、星が綺麗に見えそうだ。





たまには空を見上げるのもいいかもしれない、そんな事を思いながら空を見上げていた。






涙がこぼれないように。







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