ファインダー越しの【tatsuya.f】 (ページ29)

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しばらくはコンテストの結果を待ちながらアルバイト漬けの毎日だった。本当は有名なカメラマンのアシスタントをしながら下積みをするのだがまずはそんなことよりもお金だった。

何個も掛け持ちしていたバイトは効率を求めキャバクラへと変わっていった

そんなある日のことだった

『お隣よろしいでしょうか』

黒服に先輩の枝を回って欲しいと言われその席に行くとそこには私が昔から愛してやまないカメラマン。内山さんがいた

『え……内山さん…』

「え？あれ？知り合いかな？」

『あっ、いえ。私、内山さんの作品が本当に大好きで！今日までの個展も何回もお邪魔しました！』

熱をいれて喋り過ぎてしまった。隣の先輩も先輩のお客様も驚いてこっちを見ている。

「いいよ。続けて？」

私は内山さんの作品の好きなところ素朴な疑問を沢山聞いた。彼はそれらを丁寧に答えてくれた

『すみません……私が沢山話しちゃって』

「いいね〜きみ。今、どこ住んでるの？家は都内？」

『今は…ネカフェです………』

「明日の朝10時。ここにおいで」

内山さんは私に1枚のメモを渡してくれた。現状を打破するにはこれしかないと思った。