その日のまえに【shota.w】 (ページ36)

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退去日を迎えて私は無事蓮の家に引越しをした。
同棲をする前から変わったことと言えば朝起きても隣に蓮が居てくれること。

蓮の方が帰りが早ければお帰りって出迎えてくれる事。

明日仕事だから帰らなきゃって事が無くなったこと。

私はそれが幸せでたまらなかった。

あれから翔太くんから連絡は来ることも無く。私から連絡することもなかった。

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『時間やばい…』

仕事が切羽詰まり終電ギリギリまで会社に残っていた。
私はダッシュで駅に向かうがヒールが邪魔で上手く走れない。

終電が行ってしまう。と走っていたが私の気持ち虚しく終電は行ってしまった。タクシーでも拾おう。そう思いながらタクシー乗り場まで向かった。

蓮に迎えに来て貰えない？と聞くが仕事がどうやら長引いてまだ帰ってきてないようだった。

1台もいないタクシー乗り場に立っていると車道に車が止まり全身黒い男がこっちに向かって走ってきた。

反射的にヤバいかもと思っていると

「あやのちゃん？」

『えっ。翔太くん？』

「こんなとこでどうしたの…終電逃したの？」

私が小さく頷くとちょっと待っててねと言って車に戻って行った

暫くするとこっちおいでと大きな声で呼ばれ翔太くんの元に駆け寄ると

『家まで送ってくれるって。乗りな』

とドアを開けてくれた。

「いや、申し訳ないしタクシー待つよ？」

『いつ来るか分かんないしいいよ』

確かにそうだよな。そう思い私はお言葉に甘えることにした。

「すみません…お言葉に甘えてもいいですか？」

後部座席に乗り込むと

「おお〜全然ええで〜」

とニコニコと笑いかけてくれる関西弁のお兄さんが振り向いて親指を立ててくれた。私が住所を伝えると

「えっ！？めめと同じマンションやん〜！」

『めめ…？？』

「僕としょっぴーと同じグループのめめってやつがおんねん！そいつと同じマンションやわ！あ！僕は向井康二って言います！」

ペラペラと個人情報を言ってもいいものか。と思いながら車は私の家に向けて発進した。