37 ページ37
.
「……警察の人から…電話来てた……」
『……私の携帯…！』
「ねぇ…やっぱり嘘ついてたの？あんなに信じてって言ってくれてたのに、やっぱりアンタも報酬金目当て？…まあそうだよな、そうじゃないとこんな貧乏くじ好んで引かないもんな」
『あれは…違うの！ジョングクくんを助けようと思って――』
「そう言えば俺が納得するでも思ってんの！？警察に電話してどうやって俺を救えるっていうの？え？チョンジョングク容疑者は無実ですとか言うわけ？それで俺が捜査の対象から外れるとでも？ねぇ？どうして……どうしてこんなことになってるの…？」
バスタブの中で立ち上がり、私に向かってすごい剣幕でまくし立ててくる。
両目には涙をたくさん溜めて、褐色のいい唇はワナワナと震えている。彼は今にもこぼれ落ちそうな涙を堪えながら、私に向かって必死になって訴えてきた。
『…ジョングクくん落ち着いて』
「これが落ち着いていられると思う！？…ねぇ、俺のこと騙して楽しかった？最終的にはどうするつもりだったの？ねぇ！！」
『だから、それは違うって言って、』
「なにが違うの！？俺はアンタのことずっと――」
―パシッ
「ッ…」
思わず、手が出た。
自分でも驚いた。体が勝手に、ジョングクくんの左頬を手のひらでぶっ叩いたのだ。
彼も相当びっくりしたのか、叩かれて右側を向いたまま固まっている。
『ジョングクくん……ごめんね』
固まったままの彼を、優しく抱きしめた。
『私、お兄ちゃんしかいないから、年下の叱り方とかわかんないんだ。…いきなり叩いちゃってごめんね。…痛かった？私に仕返ししてもいいんだよ？』
「……ッ」
『…電話、ビックリさせちゃったね。…ジョングクくんのことを救うためっていうのは、本当なんだ。…実は、なにか事件の手がかりになるものはないかって思って、ジョングクくんのお家の今の家主さんにお願いして、いろいろ調べてるの。そのときに警察の人と会って、家主さんの確認をしなきゃいけないってことで……だから、ジョングクくんのことを警察に売り飛ばすために電話したんじゃない。…この件はできるだけジョングクくんには内緒で解決したかったから…なにも言わなかった私が悪いの。…ごめんね。……ごめん』
「……謝ん…ないでよ……」
彼の喉から、掠れたような声が出た。
震える肩を、より一層強く抱き締める。
『……ごめんね…』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 301人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リオナ - あの、更新はもうされないのですか？ (2019年7月17日 19時) (
レス) id: 6f626689fb (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - すごい読んでてワクワクします！！これからの展開が楽しみです！更新頑張ってください (2017年2月26日 10時) (レス) id: 99dcbf2a9e (このIDを非表示/違反報告)
みんち(プロフ) - 続きが楽しみですね♪ (2017年1月12日 0時) (レス) id: fce98acc68 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よも粉 | 作成日時：2017年1月4日 3時
