雲雀の親代り

久しぶりの我が家への帰路 ページ29

ゆっくりと家への帰路を歩く

10年ぶりのこの町はあまり変わっていなかった
強いて言えば建物が新しくなったくらい……

暗い夜道を俺の後ろにくっつくようにして歩く恭弥

貴方「………隣に来なよ」

雲雀「！……ぅん」

隣に並べば俺の肩までの身長になったことに気がついた

最後に会ったときは精々腰位だったのに…
子供の成長は早いな…

貴方「春の夜＿一人だった＿＿＿＿＿」

雲雀「………っ」

貴方「僕らは＿僕らは＿あの欠けた月の…っ」

ドンッと来る衝撃
横を見れば恭弥が抱きついてきたのが分かる

ぎゅう……

貴方「……苦しいよ」

雲雀「………っく……ｸﾞｽ」

ポタポタと雫が服を濡らす
時おり聞こえる声は震えていた

貴方「泣き虫はなおらないね」

雲雀「っ貴方の前だけだよっ！」

貴方「ふぅん」

サラサラの髪を撫でる

あの日から何一つ変わらない髪…
幼い頃の面影は少しだけ残っていて酷く安堵したのを覚えた

貴方 (十年たっても慕っていてくれたことに)

恭弥 (帰ってきてくれたことに)

貴方 (泣き虫でいたことに)

恭弥 (優しく抱き締めてくれたことに)

俺・僕 は



安心したんだ

嬉しかったんだ

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