【轟焦凍】一夜の夢それは幻 (ページ2)

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一夜の夢それは幻 1 ページ2

夜の9時。

歌声が聴こえた。

身体中を癒すような、優しくて切ない……そんな歌声。

歌声に導かれるように、俺は大きな家の前まで来た。

白い柵のような門があり、その奥には広い庭が見える。

ここは有名な財産家。

確か名前は屡倉。

よく目を凝らすと、庭の真ん中にある大きな噴水に腰掛けた女がいる。

おそらくこの歌声の正体はあの女だ。

「……」

一瞬目が合ったような気がした。

女は立ち上がると、こちらへ走ってきた。

「…こんばんは」

薄い金髪をした美しい女だった。

水色の瞳は、何故か濡れている。

轟「泣いてたのか……？」

「少し寂しくなってしまっただけです。」

そういって微笑んだ。

「……少し庭で話しませんか？」