ナ マ イ キ 3（Red）

心にぽっかり ページ15

久しぶりに1人で通勤する朝に、心がぽっかり穴が開いたようだった。


マンションの入り口を出ると…


長野「…おはよ！」


「…え？」


長野「昨日彼氏迎えに来なかったでしょ？


もしかしたら喧嘩してるのかなって思って…。


Aさん朝1人じゃ危ないなとか考えてて、気がついたらここにいた(笑)」


「…。」


長野「…ごめん！余計なお世話だったよね？」


「いや…。ありがとうございます。」


頭が混乱している私には長野さんの優しさが身にしみた。


長野「…行こっか！」


長野さんがマンションの方を見てる気がしたけど、私が見た時はいつもと変わらない風景だった。


長野「…今日のご飯だけどここでいい？」


満員電車で私を守るように角に案内してれて、潰されないようにしながらスマホの画面を見せてくれた。


「すごい雰囲気いい感じですね。」


頭のどこかでは剛くんが家にいるから帰らなきゃと思いつつ、


重たい雰囲気が残る家に帰りたくないと思う自分もいた。


…で、結局


『仕事の仲間とご飯を食べてから帰ります。


冷蔵庫の中にカレーとご飯が冷凍して入ってるので良かったら食べてね』


そう連絡を入れて長野さんとのご飯に来てしまった。


いつもなら坂本さんとって一緒だよと一言入れるけど、


長野さんと2人きりでいくご飯に


やましいことなんて一つもないのに「会社の仲間」なんて打っちゃったんだ。

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