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*
【十四松と手術】
｢うぇぇん！嫌だよぉ！手術はやぁ！｣
『うーん…』
｢でもトド松くん、それじゃあ退院出来ないよ？｣
｢怖いんだもん！やなんだもん！｣
ベッドの上で布団を濡らしながら泣くトド松。
医者であるハイ松は困ったような顔をして頭を掻き､
看護師のトト子が言うも怖いと言って手術させてくれそうにも無かった。
｢先生…どうしましょうか…｣
『弱ったなぁ…』
二人が困った顔をしていると病室の扉が開く。
｢っ！あ、貴方は…｣
そこには野球のユニフォームを着た男が立っていた。
男はトド松を見てにこりと笑った。
｢……………誰！？｣
｢十四松だよ｣
｢？｣
｢十四松｣
どうやら、トド松の知り合いではなかったようだ。
困惑しながら聞くと男は｢十四松｣と答え、
背負っていたバッドをベッドの下に置いてトド松を見た。
｢あ、もしかしてプロ野球選手？
ごめんね、僕が好きなのはサッカーなん｢プロ野球選手じゃないよ｣
え！？プロ野球選手じゃないの！？｣
｢違うよ？｣
｢じゃあ誰？｣
｢十四松だよ｣
トド松は言葉を失ってしまった。
いきなり病室にやってきて名前を聞いても十四松と答えるこの男。
完全に不審者な筈だが、ハイ松やトト子は笑顔で二人を見ていた。
｢では十四松さん、後はお願いします｣
『それでは、また』
｢えぇ！？こ、この人のこと知ってるの！？
看護師さん！？先生！？｣
｢うふふっ｣
『ははっ』
二人が十四松の知り合いなのか違うのか。
トド松が聞いても二人は答えずに病室から出て行き、
行き場のない手をトド松は伸ばした。
そして病室には十四松と呼ばれる男と二人きりに。
｢さ、たかしくん｣
｢トド松だけど！？｣
｢手術を受けるお金がないんだって？｣
｢全然違う！お金じゃなくて、手術が怖いの！てか誰！？｣
｢こだわるねぇ。テレビをつけてごらん｣
｢テレビ？｣
色々と話が食い違っている場面が多いが、
十四松に言われてトド松はリモコンを持ってテレビをつけた。
料理番組、通販番組、教育番組、ニュース。
トド松は繰り返してチャンネルを変えていた。
見る限り、十四松の姿はなさそうだが。
テレビの電源を落とし、トド松は十四松を見た。
｢え…？出てないけど…｣
｢そう｣
テレビには十四松の姿はない。
しかし、十四松は返事をして近くにあった椅子に座った。
からの沈黙。
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作者名：びた一 x他1人 | 作成日時：2022年8月12日 12時
