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ハイ松も十四松と一緒に同人誌を売っているのかと思いきや、
ただ頼まれて売り子をやっているだけだという。
物珍しそうにチョロ松は見ていた。
「なんか買う?」
「何売ってんの?」
「BL」
「BL!?」
「うん」
いつの間にBLが好きになったのか全く分からず、
十四松を驚いた目で見るチョロ松に溜め息を吐いて顔に手を覆うハイ松。
それも知らず十四松は同人誌を取り出した。
「いや、ベースボールかい!ベースボールのことBLって言わないよ!」
『ごめんねチョロ松…。何度もベースボールとBLの違いを話したんだけど…』
「あー…なんか察した」
恐らく、ハイ松が説明しても理解してくれなかったのだろう。
チョロ松も瞬時に察してハイ松を気の毒そうに見ていた。
「これは?キャッチャー総受け」
「それボールを受ける人!キャッチャーのこと受けって言わないから!」
「こっちは外角受けの変化球攻め」
「バッテリー!」
「あとこんなカップリングも」
「早慶戦!…ハイ松兄さん…」
『何度も説明したんだよぉ!?』
呆れた声でチョロ松が言うと、涙目でハイ松が訴える。
ハイ松曰く、何度も説明したが十四松には十四松なりの言い方があるのだろう。
多分、そうなのだろう。
「リバ可ならこれは?」
「リバ可とか知ってんの!?お前!」
「スイッチヒッター!」
「リバ可って言わないから!」
「じゃあスーパー攻め様は?」
「いやそれ、強打者を押さえるため一度身体に近いところに速球を見せて、
状態をのぐ反らせるインコース攻め!」
『チョロ松はなんでそんなに詳しいの!?』
野球に興味がなさそうなチョロ松が詳しい説明をしながら、
ツッコミをしていくと逆にハイ松が驚く形となっていた。
全て、BLと野球をかけた同人誌だったのだろう。
「何このラインナップ!」
「なんか買う?」
『チョロ松、お情けだと思って一冊お願い』
どれも野球ばかりの同人誌。
十四松の純粋な笑顔とハイ松の苦笑い。
チョロ松はそんな二人を交互に見詰める。
「…………スイッチヒッター頂戴」
「ごめん、僕同担拒否!」
「なんっっっだお前!!」
まさかの同担拒否で売らないことにする十四松に
チョロ松は声を荒げ、ハイ松は呆れからか額に手を当てたのだった。
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作者名:びた一 x他1人 | 作成日時:2022年8月12日 12時