人間嫌い？な人魚のお話。

・Forty one ページ46

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「ジャミルがカリムに決闘を挑めないのは
わかったけどよぉ

寮長があんな調子じゃ、
寮生みんなが振り回されて参っちまうんだゾ

リドルも大概だったけど、支離滅裂な分
カリムのほうがひでぇ気がするんだゾ」


「そうですよ

俺たち、もうカリム寮長には
ついて行けません！」


「今のカリム寮長は、
寮長の条件を満たしてない！

スカラビアの精神に反しています！」


スカラビアの寮生の言葉が
引っ掛かったのか、ユウは

「寮長の条件？」と首を傾げていた。


「ナイトレイブンの
7つの寮における寮長の条件は

『寮の精神に一番相応しい者であること』──

逆に、寮で一番でないなら寮長の資格はない

決闘はわかりやすく“一番”を
決める方法と言えるな

7寮それぞれ特色が違うから
“ふさわしい”条件も寮によるんだ


たとえば、ポムフィオーレは、

誰より強烈な毒薬を作れる者が
寮長になる伝統らしい」


「ゲッ、なんか怖い寮なんだゾ！」


『そんなことは無いよ

ポムフィオーレ寮の寮長の
ヴィルさ……ヴィル・シェーンハイト先輩は

確かに他人に対して厳しくて、
怖いところもあるけど、

美に対しての努力な所とか、
いつも自身がある姿は本当に………


まぁ、よく言うさ
『美しいバラには棘がある』とね』


ポムフィオーレ寮について
詳しく解説してくれたAであったが、

言い過ぎたと思ったのか、
すぐに咳払いをして解説を無理矢理終わらす。


「よく分かんねーけど…
怖いヤツってことは分かったんだゾ

……じゃあ、カリムはなんで
スカラビアの寮長に選ばれたんだ？」


「前寮長の指名さ。カリムのそれまでの
働きぶりと人徳が“寮で一番”だと

評価されたということだな

……アイツが指名されたときは、
俺も嬉しかったよ」


微笑みながら、カリムの事を喋る
ジャミルの姿を見て、

Aは『ふぅん……』と呟きながら、
興味が無さそうな顔で見ていた。


「それも、ジャミル先輩の
助力あってのものじゃないですか！

寮生はみんな知ってますよ」


「なんで全寮長は
ジャミル先輩を選ばなかったんだ！？」


「全寮長を責めるな

アジーム家の親戚筋の人間が

本家の跡取り(カリム)を差し置いて
俺を選べるわけが………あっ！」


思わず口に出してしまった言葉を
ジャミルは「しまった」とでも

言うような顔で気が付いてしまったが、
時既に遅しな訳だ。


「はぁ〜！？
また“アジーム家”なんだゾ！？」

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