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・Forty three ページ44




「勝手に触るなよ!
墨を吐きつけられたいのか!

僕はもっと勉強して、海の魔女のような力を
身につけてやるんだからな!

だから、邪魔するな!
あっちへ行けったら!」


とアズールは二人を怒鳴り付けて、
タコ壺から追い出した。


「ジェイド、あのタコ面白いね」


「ええ、フロイド。興味深いですね」



【そして、
ひたすら勉強を続けて数年が過ぎ……】



アズール達は中学生になっていた。


「となりのクラスのデブ人魚が
急に激やせして彼女が出来たんだってー」


「かわりに、彼自慢のテノールが
酷いしゃがれ声になったそうです」


「へぇ、そう」


幼少期の頃の可愛くて幼い声とは違い、
中学生になったからなのか、

声変わりまでしていた3人。


「別のクラスの
ボサボサのクセ毛に悩んでいた人魚も

サラサラで綺麗な金髪になったとか」


「代わりに、速く泳ぐための
大きな尾びれが無くなった」


「ふぅん、なるほど」


アズール達の通う中学校は
そんな噂が広がっていた。

ずっと聞き流していたアズールにジェイドは

「ねえ、アズール
ぜんぶ君の仕業なんでしょう?」

と分かっていたように聞いていた。


「……僕の?なぜ?」


「そんな強大な魔法、
脳天気な人魚たちには到底使えません」


「タコちゃん、
ずーっと魔法の勉強してたじゃん」


見事に見破られたのか、
アズールは「……ふっ」と少し吹き出す。


「ふふ、ふふふ!ははは!!
そうですか

まさか、もうバレてしまうなんてね」


「じゃあ、やっぱり?」


とフロイドが楽しそうな声を上げて
アズールに聞いてみると、


「ああ、そうさ
僕はついに完成させた

この魔力を込めた契約書。

これにサインさえ取り付ければ、
どんな魔力でも相手から奪うことができる……

その名も、『黄金の契約書』(イッツ・ア・ディール)

今度は僕がこの魔法で
アイツらを跪かせてやる

お前らの長所は、全部僕のものだ!!

アハハ!!!アハハハ!!!」


と黄金の契約書を見せながら、
アズールは不気味な高笑いをした。



【僕は、1秒たりとも忘れたことはなかった。】



【僕をバカにしてたヤツら。】



【いじめたヤツらの姿を。】




【そして時間をかけて観察してきた】



【ヤツらの弱み、悩み……】



【僕は、全部握っている!】



【悩みを握れば、
早く泳げるヤツの尾びれが奪える。】



【悩みを握れば、
歌が上手いヤツの歌声も奪える。】

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作者名:びた一 | 作成日時:2020年12月5日 21時

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