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・Forty two ページ43




【僕の居場所は、
いつもタコ壺の中だけだった。】



「やーい、アズールズルズル、墨吐き坊主!」


「さっさと拭けよ
足ならたくさんついてるだろ?」


「や、やめてよぉ……
な、何でそんなこと言うの……」


幼少期、アズールはいじめられていた。

泣きながら、墨を吐いている
幼少期のアズールに


「逃げろ!墨つけられるぜ〜〜〜」


「きゃははは!
俺らに追いつけっこないけどね」


とアズールをいじめていた
子供人魚は長い尾びれで

スイスイと逃げるように泳いでいた。


「うっ、うっ……」


幼少期のアズールは1人残されて
墨を吐きながら泣いていた。


【ほかの人魚と違って、吸盤が沢山ついた足。】



【引っ込み思案でハッキリものも言えない。】



【勉強も運動もてんでダメ。】



【__僕は、いつも1人ぼっち。】



【グズでノロマなタコ野郎。】



「アイツがいると水が濁る
だって泣くと墨吐くんだもん」


「鬼ごっこしても、すぐ捕まえられるから
一緒に遊んでもつまんない」


幼少期のアズールをいじめていた
子供の人魚はいじけながらそう言っていた。


【ああ、そうですか。】




【なら、僕のことは放っておいて】



【ぐるぐる走り回るだけの】



【生産性のない遊びでもしてろ!】


アズールは幼少期いじめていた
子供人魚に対して、

強い不満、怒りがあった。



【僕には早く泳げる背びれはない。】




【でも、自在に動く10本の足がある。】



【腕が2本しかない奴らより】



【5倍多く】



【魔導書の書き取りをしよう。】




【魔法陣を書く墨だって】



【いつでも吐き出せる。】




【今に見てろ。】



【いつか絶対、】



【脳天気な人魚どもを見返してやるからな!】



それが、アズールの復讐の始まりだった。

それと同時にアズールは
弱虫だった自分を変える道を作っていった。

__それが、ジェイドとフロイドの
出会いでもあったのだった。


「ねえタコちゃん、

そんな狭いタコ壺に引きこもって
何してるの?」


幼少期のフロイドは
タコ壺で勉強しているアズールにそう言う。


「うるさいな。僕のことは放っておいてよ」


「すごい。どの貝殻にも
びっしり呪文や魔法陣が書いてある

種族を変える魔法に、声を奪う魔法……

君、その8本足でずっと魔導書の研究を?」


アズールがずっと勉強した証拠の
びっしりと文字が書いてある貝殻。

幼少期のジェイドはアズールに聞いてみた。

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作者名:びた一 | 作成日時:2020年12月5日 21時

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