・Twenty nine ページ30
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『………あれ?』
Aはくるりと後ろを振り返ると、
ジェイドとフロイドが追い掛けて来ず、
首を傾げていた。
『何で追い掛けて来ないのだろうか』
そう思っていた。
鏡舎に着くと、それと同時に魔法が解けて
Aの魔法で宙に浮いていた
ユウ達は尻もちを付いてしまった。
「いたたたた…お前ら大丈夫……か」
『あれ?大丈夫?』
魔法が解け、Aも驚いたのか、
痛そうにしているデュースと目が合って、
一応声を掛けてみるが、
「うわああああっ!!!」
案の定、叫ばれてしまった。
「な、何でアンタが居るんだ!」
『我がユニーク魔法を掛けたからな
汝らの時間を止めたんだ
……というか、よく汝らはアレで
アズールにバレないと思ったな』
と呆れたように溜め息を吐きながら言う
Aに「ジャックがデカいからっすよ」と
エースも溜め息が出そうな声で返した。
完全に人のせいにしていた。
「なっ……お前らより鍛えてるだけだろうが!
それに、狼はもともと体がデカいもんなんだ」
とジャックが反論をすると、
Aは興味深いとでも言うように
『あー、確か……
ジャック・ハウルくんは狼だったっけ』と
微笑みながら言った。
「あの契約書、破れないどころか
触れもしないとは……」
「今日のところはここまでか」
「貴重な1日を棒に降っちまったんたゾ」
「本当に破る方法なんかあんのかよ〜」
半ば諦め状態の3人とグリムに、
ユウは何かが引っ掛かるように
「……なんだろう、この違和感……」
と呟いていた。
Aも彼らの様子を見て呆れているのか、
『本当に馬鹿だなぁ……』と零した。
『……君たち、本当に大丈夫?
アズールとの契約満了まであと1日。
どうしてもって言うなら
このA様が力を授けようじゃないか』
腕を組みながら、ドヤ顔で言うAに
「……嫌に決まってるだろ
どうせ俺たちを裏切るだけだ」
とジャックはAを睨みながら
誘いを断った。
『……確かに、汝の言う通りかもしれぬ』
フッと笑いながら、
Aはユウ達を置いて
オクタヴィネル寮へと無言で戻って行った。
別れの挨拶など無しに。
_________
流石に、VIPルームには
顔を出せないと思ったのか、
大人しく部屋に戻ろうとするAは
ポケットに入れてあるマジカルペンを見た。
『……………』
Aは少しだけ黒ずんでいる
マジカルペンを見てハッ、と鼻で笑った。
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作者名:びた一 | 作成日時:2020年12月5日 21時