獣と薔薇 (ページ1)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:1,011 hit

エピソード1 ページ1

「この……あたりかな」

街から外れ、車に何時間も揺られた先の目的地へと、1人の少女はやってきた

手には1枚の紙切れと小さめのキャリーケース

「こんな森の中に本当に親戚のおじさんなんているの…？

いや！いてもらわなきゃ困る…

帰る家なんて、もうないんだから」

--------------------

『はい、もしもし………………え？』

『お父さん！！！お母さん！！！』

『交通事故だったって』

『まだ若いのに、可哀想にね』

『手紙……？』

『おじさんが、いたんだ……』

--------------------

ふと浮かんだことを少女はかき消すかのように首を振り、その森へと歩み出す

--------------------

「あ…もしかして…これ？

嘘でしょ？」

車から降り、しばらく歩くと見えてきたのは薄暗く不気味な洋館

「そんなわけないない！！

…でもこれ以外に建物らしきものなんて…」

少女は困ったなと立ち止まる

ザー……

「 ……わっ！！！

嘘、雨！？

今日は晴れだっていってたのに！！

仕方ない……
とりあえず、雨宿りさせてもらおう……！」

急に降り出した雨はやむことを知らず、冷たく少女へと降りかかった

少女は洋館へと走り出す

そうして、

その不気味な洋館へと、

足を踏み入れた

ザァー……

「…………」

赤い瞳がそれを見つめているとも知らずに