7、俺は誰だ ページ8
ロシナンテside
目が覚めてから3日、もうこの天井にも慣れた。
身体をゆっくりと起こし、ベッドの端に座る。
身体中包帯で巻かれていて、まだたまにズキンと痛む。だが、動けない程じゃなかった。
俺はこの3日、今までの事を思い出せないでいる。
...なにも、思い出せない。
名前しか、わからない。
俺は誰だ...?
どうして話せない...?
どうしてこんなキズを...?
ズキンッ!
「ッ!」
頭を殴られたような痛みに顔をしかめる。
...やめよう。
そう思い、立ち上がって、近くに掛けてあったピンクのシャツへと袖を通す。
これは、俺が着ていたものらしい。
ほかには、黒い羽のもふもふのコートと、赤い帽子のようなもの。
そして、拳銃。
俺は机に置かれたソレを横目に部屋を出た。
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部屋を出ると、朝食のいい匂いがした。
「あ!ロシナンテ、おはよう」
調理台の前に立つAと目が合うと、彼女は俺のもとへと駆け寄ってきて、また付け違えてる と、ボタンを直していく。
チラっと彼女の足下をみれば、つま先立ちで辛そうだ。
まぁ、俺がでかいのか。
そう思い、腰を折ると、彼女はつま先立ちをやめ、テキパキとボタンを直してくれた。
紙に A、ありがとう と書いて見せると、
どういたしまして と微笑んでくれた。
目が覚めて、1日経った時、
彼女は、俺が死にかけていて、危ない状態だったこと。
悪魔の実の能力で、俺の時間を巻き戻し、助けてくれたこと。
俺を背負って家まで運んでくれたこと。
事細かく説明してくれた。
そして、俺は記憶がないことを彼女に伝えた。
記憶がないことは不安だったが、
Aの「ゆっくり思い出せばいいさ」という言葉に少し救われた。
顔を洗いに洗面所へと向かう。
冷たい水を顔にかける。
顔から雫が、ぽたぽたと滴る
ふと見た鏡に写る自分は、
俺じゃない気がした_______________
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作者名:みかんちゃん | 作成日時:2019年8月22日 23時