２話「体力テスト」 ページ4
「今日体力テストかぁ……」
「いいじゃん。授業潰れるんだよ？」
入学式から三日目後。
花はクラスメイトの会話を聞いて絶望した。
何故なら花は極度の運動音痴だからだ。
「花ちゃーん」
落ち込み肩を落としていた時、京華が花に声をかけ、小麦と有紗が寄ってきた。
その中でただ一人、有紗は花が落ち込んでいる理由を察して苦笑した。
「あははー、もしかして、花ちゃん運動音痴？ あたしもだから安心しなよー」
そして、励ますようにそう言った。
「ほっ、ほんと!? 有紗ちゃーん!!」
花は同志がいる事に感激し、普段の花からは想像出来ない程のスピードで席を立ち、有紗の方へ飛んでいった。
よっぽど花のスピードがえげつなかったのか、有紗はそれを見て「もしかしたら花ちゃんって運動神経良いのかも……」と不安に思ったそう。
「は、花ちゃんって本当に運動音痴だったんだね。あたしも人の事言えないけど」
有紗はハンドボール投げの記録を自分と花ので見比べながら苦笑した。
有紗の記録は7メートル、花の記録は何と２メートルだった。
ちなみに運動神経普通の小麦は11メートル、運動神経抜群の京華は18メートルの記録を叩き出した。
最初の種目のハンドボール投げから、50メートル走、シャトルラン、反復横跳び、長距離、立ち幅跳び、上体起こしと、明日にする握力と長座体前屈以外は順調に進んで行った。
小麦と京華にとっては何でもなかったが、運動音痴の花と有紗は散々だった。
特に長距離……1500メートルで、花と有紗の運動音痴が全開になっていた。
「はぁっ……はぁっ……うぇっ……あたし……むり……」
「ダメ、です……」
「さ、佐藤さん!? 佐藤さんが倒れたー!!」
有紗は何とか20分という散々なタイムでゴールしたが、花は結局リタイアした。
……最後に謎の笑顔を浮かべて倒れたのだ。
その後、結局保健室に連行された花と、自主的に保健室に行った有紗は二人きりになった。
「誰もいないね」
「うん……」
保険の教師も今日は出張で不在、授業中なので保健委員も不在で、花と有紗以外には誰もいなかった。
有紗はそこそこ元気になった花の様子を見て、一言言った。
「ねえ、あたしと内緒話しない？」
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作者名：ミナ | 作成日時：2018年4月13日 22時
