* ページ3
花は二日の休みを挟んで月曜日、入学式以来の登校をした。
教室に入ると、既にいくつかのグループが出来ていることに肩を落としたくなったが、今日の花は何故か強気だったので落とさなかった。
「あ、11番の人。よろー」
すると、花の真後ろからそんな声が聞こえてくる。
花は、「11番の人」と呼ばれたことに反射的に「佐藤花ですっ!」と名乗り、振り返る。
そこには、入学式の日に、京華に話しかけられていた少女がいた。
「ゴメンゴメン。あ、あたしは北原有紗でーす」
その少女……有紗は謝罪しながら自己紹介をする。
その瞬間、花は我に返り、「急に大声出してすみませんでした!」と言った。
有紗は特に気にした様子もなく、「よろしくねー」と言いながら花の手をとる。
その時有紗は笑っていたが、花にはその瞳が少し寂しそうに見えた。
今日は雨だった。
授業が終わり、花は家に帰る準備をする。
鞄に荷物を詰め、昇降口に辿り着いた時に、偶然京華と有紗と鉢合わせした。
「おっ、花ちゃん! 一緒に帰らない?」
沈黙の中、初めに口を開いたのは京華だった。
その隣から有紗が「あと一人待ってるんだけどね」と付け足す。
花は特に断る理由も無かったので、「わ、私で良ければ」と返して二人と一緒に残りの一人を待つ。
残りの一人はトイレに行ってて、もうすぐ帰ってくるはずと言うが……
「……ただいま……あれ、その人は?」
来た。
花はそう思いつつ、身構える。
その時、京華が「佐藤花ちゃんだよ! 同じクラスの!」と付けたし、入学式の日に有紗と話していた少女……小麦の頭に手を乗せる。
小麦はそれを子供扱いしたと思って、怒ったが、花がいることを思い出して、花と向き合った。
「栗原……小麦。よろしく……」
小麦の可愛らしさに思わず目を背けたくなったが、花は我に返り、「よ、よろしくね」と返事をする。
沈黙が訪れようとしたところで、有紗がタイミング良く「帰るよー」と言った。
花は急いで上履きから通学用の靴に履き替え、先に昇降口から出ていた3人の元へ向かう。
それから4人は、出身小学校の話や、趣味などよ話をしながら学校の最寄り駅まで一緒に歩いて帰った。
それぞれ家の場所はバラバラだったので、駅で別れることになってしまったが、友達がいなかった花にとってはそれも充実した時間であった。
クラスが友達と離れてしまって、絶望の一年間が始まるかと思いきや、そうでもなくて。
「思ったより、いい生活になりそう……」
花は、これから先の学校生活に、期待と希望で胸を膨らませた。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミナ | 作成日時:2018年4月13日 22時