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ー歌詞太郎sideー
ろんちゃんの母親から電話が来た。
母「あの、一時退院させたいんですけど・・・」
唐突だった。入院する時も父親だったしお見舞いにも来ていない。
なんらかの理由があるんだろう。
歌「わかりました。本人と相談の上再度電話をかけますので。」
母「早めにしてください。」
ブツっと乱雑に切られてしまった。
歌「ろんちゃん、お話ししたいんだけど？」
ろ「ん？いいよ？」
僕から遊びに来るなんて滅多にないから戸惑ってる。
喜ぶかな・・・
歌「ろんちゃん、一回帰れるんだけど・・・」
僕の声が少し震えていた。
特に何もない。無いはずだけど嫌な予感がする。
昔のあの二人のように。
あんな姿で帰ってきたら・・・
ろ「虎太郎に会えるの？帰る！」
虎太郎ってのは、あれか、弟さんか。
年子だったよな？
よく泣きわめく子だったな・・・
ーろんsideー
ろ「歌詞先生、いいの？」
退院の日、お母さんはこなかった。
歌詞先生が連絡を入れてくれた。
歌「八洲駅っていう駅まで送ってほしいって。」
八洲。私の家のある町だ。
なんか予定が入っちゃったのかな？
虎太郎に会いたいな〜。
歌「あ、ほら。あ母さんいるよ？」
車で１５分。そして１０分くらい待っていたら、お母さんがきた。
お母さんしかいない・・・
ろ「先生、また来週ね！ばいばい！」
車から降りて荷物をもって、歌詞先生に手をふる。
ろ「お母さん。虎太郎は？」
何も返してくれない。
無理やり腕をひかれ、お母さんの車に乗せられる。
ろ「ねえ！ねえってば！お父さんは？虎太郎は？」
聞いても聞いてもまるで私の声が届いていないかのように無視をされる。
ろ「母さん！」
母「んだよ！もう、あんなのは居ないよ！」
いきなり声を荒げられたからびっくりした。
ふと、窓の外に目を向けると見慣れない景色が広がっていた。
ろ「か、母さん？ここ、どこ？」
母「もう、あんなとこ出てくよ。」
もうなにがなんだか分からなくなっていた。
出てく？
じゃあみんなとはもう会えないの？
歌詞先生も・・・Aちゃんも・・・まふくんも・・・
あれで最後？
ろ「母さん。」
母「うるさいと、虎太郎みたくするから。」
虎太郎みたく、ってどういうこと？
さっき、虎太郎も父さんもいないって言ったよね？
どこにいったの？
私の知ってる家族はいなくなっちゃったの？
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作者名：にょんこ0602 | 作成日時：2017年9月23日 21時
