歌い手病院『市立海の街病院小児科病棟』 (ページ28)

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ー天月sideー

今日からAの右手生活が始まった。

俺も一緒に右手生活を始めた。

かしたろも付きっ切りで教えてくれた。

歌「僕を鏡だと思って箸を持ってごらん？」

天「こんなかんじ？」

あ「どう？あってんじゃない？」

歌「天月君、薬指。A、人差し指。」

あ「もういいじゃん！スプーンで食べる！」

まだ、始まったばっかなのにもう投げ出した。

天「俺なんて、巻き添えだかんね！？」

ちゃんと持てても、食べれはしないだろう。

そうなったら、スプーンやフォークをくれるんだろうけど・・・

あ「持てた！持てたよ！ほら！」

歌「OK！でも食べれる？無理だったら、先割れ使いな？」

あ「ううん。頑張る！」

上手くいくと、自分から先に進むようになるのがAの良いところなんだよな～

この調子だと、俺が置いてかれそう・・・

歌詞太郎さんは、元々左利きだけど右もつかえる『両利き』だもんな～

歌「おぉ！A、上手、上手！」

Aは、もう半分くらい食べ終わっていた。

俺なんて、汁物しか飲み終わってない・・・

あ「天月、遅～い！」

天「君より、左手暦が長いの！」

苦しい言い訳だな、と自分でも思う。

でもよ～～～くみたら固定されてる左手が右手と同じ動きをしていた。

あ「みてみて！天月、全部食べたよ！」

天「さすが、Aはなんでも出来るんだね！」

俺も急いで犬食いをして、食器を片す。

さてさて・・・次は、学級かな？

ペンも右か・・・

天「まふ～、９６～。お願いなんだけど～！」

ー９６猫sideー

天「Aのノート、手伝ってもらいたいんだけど・・・」

96「わしがやる！わしがちゃんと一人で教える！」

考える前に声に出していた。

元はと言えばわしが悪い。ちゃんと責任とらなきゃ・・・

天「じゃあ、まふは・・・」

96「天月くん、歌詞君！お願い。わしに任せて！わしが悪いんだから、責任取りたい！」

歌「そこまでは言わないけど、任せっちゃっていいんじゃない？」

やったぁ・・・

安心して？A。わしが最後まで面倒見るから。

ー歌詞太郎sideー

９６ちゃん、まっすぐだったな・・・

『天月くん、歌詞君！お願い。わしに任せて！わしが悪いんだから、責任取りたい！』

そんなこと、ちっちゃな体で上目遣いでいわれちゃ、断れないよ。

歌「店長君。９６ちゃん、大人だね？」

店「体に見合わないくらい大人ですよ、あいつ。」