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それから納会も無事終え新年を迎え一ヶ月ほどが過ぎた
それまでの姫は以前と変わらなかった
でも 彼が隠しきれない嬉しそうな笑顔で毎日を過ごしていたから すぐに わかった
元々愛想のいい彼なので今までの彼とは変わらない様に見える人も多くいたようだった
そんな二人がやっと これからって時に限って神様は意地悪をする
海外支社長から気に入られた彼は引き抜気の話が出た
彼は仕事もでき語学も堪能なので海外支社の方が合っていた
そんな彼の才能は誰よりも姫が知らないはずも無く…
幸せそうだったのに…
5年もかかって やっと伝え合うことが出来たのに…
珍しく姫は彼を見つけると動揺していたのが僕には わかった
どうやら最悪の決断をしてしまった様だった
密かに応援して来ていた僕は残念で仕方が無かった
彼女が出来た時ですら避けなかった姫が彼を避けている姿は見ているのが辛かった
彼が住所変更の書類等を提出に来た
何度か保険等の手続きで訪れて来ていたが きっと これで総務に来るのが最後になる…
そう思うと僕は少しでもキッカケを作りたくて姫に確認作業を手伝って貰った
確認はスムーズに終えてしまい姫が彼に『大丈夫です。』そう言って視線を交わした
彼は わかりやすく表情が崩れていた
姫は崩すまいと平静を装っていた
やはり二人はまだ前に進めるだけの話が出来ていないようだった
姫の様子が明らかに おかしくて無理なのが背中越しでも わかった
咄嗟に連絡も来ていない営業部のコピー用紙の補充を頼み離席させた
そんな彼女を追いかけることが出来ない彼も すぐにその場から立ち去った
そして彼がとうとう出発する日の朝目を疑った
エレベーターを待つ いつも通りを装い今にも崩れ落ちそうな姫
僕は肩を掴み驚く姫を無視して腕を掴み走った
そしてタクシーに無理矢理 押し込め運転手に空港を指示した
姫は泣き出しそうな顔をしていた
5年間を無駄にするなと偉そうに言って最後に頑張れと送り出した
午後を少し過ぎた頃 遅くなった昼食のサンドイッチを食べようと思っていた時 姫が戻ってきた
姫らしいと思った
普通なら今日は来ないと思っていた
部署の皆には通院と告げていたので特に誰も何とも思っていなかった
バッグを自分の席に置いて僕の所へ来た姫の顔は無理に笑顔を作ってはいたけど前を向けていた
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作者名:明日 | 作成日時:2022年12月25日 18時