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side黒
大倉が消えるなんて嫌や
その気持ちだけが頭にどんどん風船の様に膨らむ
ただひたすら大倉を止めたい、その一心やった
大倉は俺を優しく抱きしめると頭をぽんと撫でた
緑「横山くん、大丈夫やで。すばるくんとか村上くんとか皆が居るやん」
黒「・・・・・・」
緑「それにただ見えへん様になるだけ、俺はいつもそばに居るよ?」
黒「見えへんだら意味無いやん・・・」
きっと傍から見たら駄々を捏ねる子供に見えるやろう
それでも俺は大倉を引き止めたかった
赤「ヨコ、分かってるやろ・・・」
黒「・・・・・・」
紫「ヨコ・・・・・・」
黒「・・・分かってる、分かってるから・・・」
大倉の顔を見るとニッコリ優しく笑ってくれた
それにつられて俺も笑う
ここで俺が我が儘言ってしまったら、上に掛け合ってでも来てくれた大倉に悪い
そう思ってしまった
俺はゆっくり、大倉の手を離して一歩、また一歩と大倉に背を向けて後ろに下がって行く
緑「横山くん・・・?」
黒「・・・ここで俺が我が儘言ったら大倉の事、困らせるから・・・ちょっと大人になるわ・・・」
赤「ヨコ・・・」
黒「大倉、あの時助けてくれて・・・ありがとう・・・」
緑「うん、横山くんが無事でよかった」
紫「・・・・・・」
零れそうになる涙をぐっと堪える
涙を消し去るように空を見上げて必死に涙を止める
振り返って今出来る笑顔で大倉を見る
大倉は初めて会った時のようにふにゃっと笑っていた
黒「俺、これからも頑張るから」
緑「おん」
黒「お前に安心してもらえるように、頑張るわ」
緑「ずっと見とるよ」
しだいに大倉の姿が薄くなっていく
黒「大倉?大倉ッ!!」
緑「俺のホンマの名前はツキヨノミコトって言うねん。ちょっと覚えといて」
黒「ツキヨノ・・・ミコト・・・」
緑「じゃあ、またね」
黒「大倉、大倉っ・・・!」
また会えるような言葉を残して大倉は消えていった
*
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作者名:菅原祐飛 | 作成日時:2017年11月5日 18時