蒼い記憶の中の君 (ページ11)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:17,570 hit

10 ページ11

side黒

視界が一転する
さっきまであいつらが目の前に居たのに、今見えているのは青い澄んだ空
状況が読めず、体が動かない

赤「ヨコ！！！！！！」

すばるの声に頭の霧が一気に晴れる
声が耳に届くと同時に俺の視界が暗くなる

ボシャァァァァン！！！！！！

殴られた衝撃で俺の体は川の中へと放り出された
激しく水の中に飛ばされた体がどんどん沈んでいく
一瞬のことで受け身を取れなかった俺は手を伸ばすことも体勢を立て直すことも出来なかった
だんだん呼吸が苦しくなる

･･･あか、ん･･･い、息が･･･っ

俺の頭にある光景が過ぎった
そう言えば、小学生の時に溺れた時もこんな感じだった
あの時も水に沈んでいく体、苦しくなっていく息に意識が遠のいていく
意識が消えかけていた瞬間、優しい声でこう聞こえた

『もう、大丈夫･･･』

その声に何故か安心してそのまま意識を失った

・

あん時と、一緒や･･･

ボコボコと息が出ていく
呼吸が限界を迎え、一気に空気を吐き出してしまった
意識を失いそうになったその瞬間、薄らと見えた姿

･･･だれ･･･？

また、あの時みたいに･･･助けてくれるん･･･？

緑「横山くんっ！！！！」

･･･おお、くら･･･？

・

黒「ガハッ･･･、はぁ、はぁ、はぁ･･･っ」
緑「はぁ、はぁ、はぁ･･･っ」
赤「ヨコ！！！」
紫「ヨコ！！」

大倉に引き上げられ俺は岸に上がった
激しい呼吸を繰り返して必死に酸素を体内に取り込む
すばるとヒナが血相を抱えて走って来た

緑「大丈夫、もう安心や･･･」
黒「はぁ･･･、はぁ･･･お、くら･･･」
緑「ゆっくり息して、もう大丈夫やから」
赤「大丈夫か？」

大倉の動きに合わせて呼吸をするとだんだん乱れた息も落ち着いてきた
やっとしっかり大倉の姿を見ることが出来た
ヒナが持ってきたタオルが俺の体に羽織らせてくれた

紫「安心せぇ、あいつらはもう部室のことは言ってこうへん」
黒「･･･え？」
紫「大倉が、学校の先生を呼んできてくれててあいつらは再び休学やって」
黒「そう、なん･･･」

部室が何ともなかったことよりも俺はもっと大事なことが気になっていた

大倉･･･お前、もしかして･･･

黒「あの時･･･助けてくれたの、お前なん･･･？大倉･･･」

＊