第8話 ページ9
「おい女。」
『は、はい！』
「邪魔だ、そこを退け。」
『す、すみません監督！！』
その場の空気が凍りつく。
迅は予知通りになり、額に手を当てた。
「あちゃー…」
「Aちゃん、高３やねん。」
『え、………………え？』
「お頭は２コ上や☆」
『す、すみませんでしたァァァー！！ 』
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やってしまった。
Aは給水タンクの上で手を合わせる。
来てそうそう相手に最悪な印象を与えたのだ。
いくら高３と言えど、年上と間違えられて嬉しいわけがない。増してやAは監督と読んでしまったのだから。
『あああ、頭冷やしたい。』
給水タンクからそのまま屋根に飛び移り、地面に着地する。
ふと顔を上げると人がいた。
人がいた。
『WOW…』
「また貴様か。」
『お、お頭さん。こ、んばんは。』
「貴様に呼ばれる筋合いは無い。」
『え、と………あの、誰ですか。 』
「貴様に教える必要がある。」
何だこのヒゲ野郎。
まだ太刀川の方が可愛げがあると心の中でそう思っていると、
「…貴様、一度死ぬか？」
『ま、まさか声に出てたり…？』
「全て出ていた。」
『すいませんでしたァァァー！！ 』
「平等院鳳凰だ。貴様の様な小娘にヒゲなど呼ばれる筋合いはない。」
『ひ、す、すいません！………え、平等院鳳凰…さんなんですか。』
ふと頭に浮かんだのは、歴史ある建物の一つ。
そして、もう一度平等院とやらを見た。
『平等院鳳凰堂ではなく、平等院鳳凰さん、で本当に合ってますか？』
「貴様やはり死にたいらしいな。」
『冗談です冗談！！』
冗談抜きで怖いこの人。
口元が引き攣るのが分かるって。
しかも何か見た目と違って名前と言葉が古風。
「おい。」
『はい何でしょうかお頭！！』
「やはり死にたいらしいな小娘。」
『うそうそうそですってー！』
「黙れ、おい小娘。貴様は俺に名乗らせておいて自分は言わないつもりか。」
『そ、そそんなわけ。』
何故分かった。
いやだってこの人とこうして話すのもう来ないからいいかと、
「さっさと名乗れ小娘。」
『ってさっきから小娘って何ですか、私は國神Aって名前があるんですコノヤロー。』
「あ？」
『すいませんでした。』
ベイルアウトーーー！！！
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作者名：RUGI
| 作成日時：2020年8月12日 8時
