第6話 ページ8
鬼さんのガットが切れて、試合が中断された。
「這い上がってこい!!桃城武!!」
とりあえず怪我を負った桃城という人の所まで行って手当をしないと黒部さんに怒られる、それはダルい。
『…怪我した腕、出して。』
「アンタは…」
『
「あ、はい。」
_________________
_________________________
「ありがとうございます。俺、桃城武です。」
『知ってる。…塗り終わったら、テーピングするから待ってて。』
「はい。」
Aは薬を手に取り桃城の腕に塗る。塗り終えたらテーピングを救急箱から取り出し丁寧に巻く。
その際に桃城はAの顔をじっと見た。黒く艶やかな髪に伏せられた紅い瞳。桃城の腕にテーピングを巻くその手もテニスをやっているかと疑いたくなるほど白い。
簡潔に言えば、容姿端麗なのだ。
「
『…高１。』
「昨日の試合も見てたんすけど、凄かったです。俺、調子乗ってました。」
『…鬼さんに、勝てると思ったんだ。』
「はい。もしかしたらって…でも、足元にも及んじゃいなかった、すげぇ悔しい…!!」
Aはテーピングを巻き終え、救急箱にしまった。そして、怪我を負った腕を掴む。
桃城は痛みに顔を歪め、外野から仲間だろう同じジャージを着た人のおい!!と叫ぶ声が聞こえる。
『お前は弱い。…この試合で、自分でも痛感したでしょ。』
「…ッ」
『上には上がいると分かった。なら、どうする。』
「!!」
『分かったならそんな顔はまだするな。』
そう、これはまだ始まったばかりなのだ。少なくとも今の段階で悔しいとか言っている場合ではないとAは知っている。
救急箱を持ちAは立ち上がって歩き出そうとするが、立ち止まり桃城を見た。
『鬼さんのガットは、そう簡単に切れるものじゃないよ。…伸びしろがあるね、桃城。』
「!!」
真っ直ぐ桃城を見て、今度こそAは歩き出してその場を後にした。
「ふむ、彼のデータが欲しいな。」
「悪い人じゃ無さそうだな。」
「そうっすね。」
乾の眼鏡がきらりと光る。
不二は先程のAの目を思い出す。
見下すようなものではなく、ただ真っ直ぐ桃城を見る目は素直にとても綺麗だと思った。
そんな不二の言葉に越前は答えた。
「面白ろいじゃん。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 362人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「テニスの王子様」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nana民(プロフ) - 更新頑張って下さい！ (9月1日 23時) (
レス) @page22 id: 52a3fcc53d (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 更新頑張ってください！ 応援しています (2021年6月21日 21時) (レス) id: 30bd05b899 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきうさぎ - 頑張ってください！ 陰ながら応援しています。 (2021年4月29日 17時) (レス) id: 30bd05b899 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 更新頑張ってください！ (2021年4月1日 11時) (レス) id: 30bd05b899 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - とても面白くていつも続きを楽しみにしてます。更新頑張ってください！ (2020年11月4日 19時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：RUGI
| 作成日時：2020年3月16日 20時
