Jeanne black swan.2 ページ39
+
____嗚呼、そうだ。
サラの鏡の異能力に嵌った人虎中島敦君が、
自分を定義出来ず、自分を確固たる自分ではないと
疑心暗鬼になったのはきっと、発動者の"私"が、
"私"の物語を語る事が出来なかったからだ。
"私"の異能力は持ち主を映したとても珍しい物だと後から太宰さんが教えてくれた。
全てを支配する女王の意味と
本質という意味を持つサラ。
そして本物の自分を映し出す鏡。
優柔不断で不安定な"私"に、これ以上ないくらい
ピッタリの異能力。
否、優柔不断なんて言葉は"私"には似合わない。
___傲慢で、強欲な、"私"。
そんな私がポートマフィアに拾われた所から始まる、
"私"の物語。
+
横浜の貧民街は相変わらず死体の腐敗臭が漂っていた。____織田作之助は顔を顰め、鼻をつまむ。
油蝉が喧しく鳴く夏の午後__
仕事の関係で、友人の太宰と貧民街を訪れていた。
「帰ろうよぉ〜織田作〜
私こんなとこ嫌だよ〜」
太宰は俺の肩に顎を乗せて口を尖らせる。
「暑いからどけ」と甘える太宰を押し退けた。
___周りを見渡せば○がくればすぐに飛ばされそうな作りの住処が立ち並んでいる。
彼らにとってそこは住む場所で我々にとっては
あまり近寄りたくない所だった。
無言で足を突き進める。
___俺はふと右を見た。何を思ったとかはなかった。
ただ何となく、右を見て、それから立ち止まった。
何かがいた。目を凝らして見る。
太った男が遠くで此方に背を向けて地べたに座っていた。別に気にもとめる程の事では無いはずだった。
___俺は走って拳銃を構えた。
___男は揺れていた。
男の腰骨から小さく白く、見るからに幼い足が2本、
だらりと垂れているのが見えた。
「織田作!」
発砲音と共に男の悲鳴と、太宰の呼ぶ声が響いた。
肩を抑えた男は泣き喚く。
拳銃を構えた両手が震えていた。
____こいつを、殺す。
そう踏んだ筈の殺意を、理性で叩きのめした。
冷静さを呼び戻し一呼吸して、俺は走る。
男を取り押さえた太宰を確認し、倒れた子供に
視線を移した。
「__ｯ」
_____薄汚れた頬と服。
呆然と俺を見続ける、ヴァイオレットの瞳が揺れている。
そう、まるで__死体のようだった。
「この子の父親か、お前は」
少女を穢していた男にそう尋ねると、男は
「面倒を見ていただけで血は繋がっていない」と唸った。
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奥山乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します！私、逆ハー大好きなんで嬉しいです！無理せずに頑張ってくださいね！ (2023年3月5日 19時) (
レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
初季(プロフ) - ちっぽけさん» あああああフラグ立っちゃたんですか(震え声)了解です！笑 (2018年3月1日 4時) (レス) id: 6dc40941cf (このIDを非表示/違反報告)
ちっぽけ(プロフ) - 初季さん» 最初はこの作品、フラグなしだったんですけどフラグがたってしまって…その時に頑張って回避しようとしてた言葉ですね笑 そうです、その言葉であってます汗 (2018年3月1日 1時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
ちっぽけ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます！(><) (2018年3月1日 1時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
初季(プロフ) - こびぐすりとはび やくのことでしょうか…？フラグ防止でわざとだったらごめんなさい(><)面白くて大好きです！これからも頑張ってください！ (2018年2月26日 0時) (レス) id: 6dc40941cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちっぽけ | 作成日時：2018年1月17日 0時
