Jeanne1. ページ1
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「おい、小僧」
異能力探偵社の新入社員灰色髪の中島敦は
緊張した顔つきを浮かべていた。
「不運且つ不幸なお前の人生にいささかの同情が
無いわけではない。
故に、この街で生きるコツを一つだけ教えてやる」
国木田さんはそう言いながら、理想手帳の中から
二枚の写真を取り出した。
「____コイツと…コイツにだけは会うな。
会ったら逃げろ。」
差し出された写真を手に取った。
「この人達は…?」
「____マフィアだよ」
僕が尋ねると、太宰さんがすぐに答えた。
黒ずくめの服装で、若い男の写真。
「最も、他に呼び方がないからそう呼んでいるだけ
だけれどね」
「港を縄張りとする凶悪な犯罪組織。
奴らは、ポートマフィアと呼ばれている。
この街の黒社会で最も危険な連中だ。
中でも1枚目の写真の男はこの探偵社でも
手に負えない危険な奴だ…」
深刻な顔をした国木田さんに、
「何故危険なんですか?」と尋ねると、
彼は強めの口調で言った。
「そいつが異能力者だからだ。」と
「しかも殺戮に特化したすこぶる残忍な異能力で
軍系でも手に負えん。
俺でも奴と戦うのはごめんだ。
…おい、聞いてるのか」
国木田さんの説明が僕の耳に届かなかった。
2枚目の写真に僕は目を奪われていたから。
白く長い髪に、アメジストのような、輝く紫色の
二つの大きな瞳…
雪のように白い肌 血のように赤い唇____
17歳くらいの女の子がただ歩いている姿。
黒のパーティードレスにレースの袖と
赤いハイヒールを履いた少女…
「はい没収〜」
「あっ」
震える指の間に挟まれた写真が、するりと抜けて姿を消す。振り向けば、太宰さんが綺麗な女の子の写真を取り上げた。彼はとても優しい笑顔をしている。
「小僧、さぞ見惚れただろう、その写真の美しさに。
…だが、ダメだ。そいつはダメだ。」
国木田さんは太宰さんから写真を奪うと、
そっと理想手帳の中に挟んだ。
「何故です…?」
熱く火照る頬はまだ温度が下がらないままだった。
国木田さんは咳払いをして、ため息をつく。
「____その美しさに酔うからだ。
身も心も奴に奪われて、気が付いた頃にはもう遅く…
性別関係なく奴の言いなりになる。
美しさは異能力ではないが、見た目だけでも厄介なのに奴の異能力は精神攻撃だからもっと厄介だ。
奴は言わば…歩く惚れ薬。
お前も写真だけで酒を飲んだように酔っただろう」
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奥山乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します!私、逆ハー大好きなんで嬉しいです!無理せずに頑張ってくださいね! (2023年3月5日 19時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
初季(プロフ) - ちっぽけさん» あああああフラグ立っちゃたんですか(震え声)了解です!笑 (2018年3月1日 4時) (レス) id: 6dc40941cf (このIDを非表示/違反報告)
ちっぽけ(プロフ) - 初季さん» 最初はこの作品、フラグなしだったんですけどフラグがたってしまって…その時に頑張って回避しようとしてた言葉ですね笑 そうです、その言葉であってます汗 (2018年3月1日 1時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
ちっぽけ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!(><) (2018年3月1日 1時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
初季(プロフ) - こびぐすりとはび やくのことでしょうか…?フラグ防止でわざとだったらごめんなさい(><)面白くて大好きです!これからも頑張ってください! (2018年2月26日 0時) (レス) id: 6dc40941cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちっぽけ | 作成日時:2018年1月17日 0時